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Last UP Date:2014-06-29
3月16日、札証アンビシャス市場にアルファ・トレンド上場/2004-03-06
 アルファ・トレンド(本社・札幌市白石区、田中博見社長)は3月16日、札幌証券取引所新興市場「アンビシャス」第2号銘柄として上場する。
 同社は1991年12月に有限会社として設立。96年に増資して株式会社への組織変更を行い、おもにインターネット利用上の課題を解決するウェブソリューション事業を手がけてきた。
 02年3月にはグリーンシート銘柄の指定を受け、会計コンサルティング企業のプライムファームや直接金融支援のジーエスコンサルティングをグループ化。グリーンシート登録指定を受けてから、順調に業績を伸ばし、1株約100000円まで株価を上げた時期もあったが、このときの田中社長の経営判断は“株式分割”。1:2の分割によって株価を高めるより株数の増加を選択し、03年10月には社名を旧アルファークラフトから現社名へと変更、近年はeコマース事業、コンサルティング支援事業に力を注いでいる。
 03年6月期の売上高は約1億8600万円、経常利益は約2200万円。
 3月11日までに2000株を公募増資し、保有の800株と合わせて上場するが、3月3日に発表された公募価格は1株65000円と、やや見劣りの感が否めない。
 田中社長は言う。
「美しい事業計画を描き、株式公開で高値をつけて増資を図るというのが従来からの手法でしたが、当社は高い株価の株式よりも、より多くの株主が欲しい。事業計画の美しさに誘惑を感じないわけではないが、そうすると創業者利益により多くの資金が流入してしまうんです。投機ではなく投資として当社の株式を考えて欲しいと思い、こうしたんです」
 株価を可能な限り高めようとするいままでのIPO手法とは全く違う、“低め公開”の哲学に、従来通りの発想でIPOを勧める証券業界からは反発もあった。
 グリーンシートの指定前後には、「経費ばかりかかって無駄」「しっかりとした事業計画を練り、大きな市場に公開した方が良い」と、直接電話してまで諌める関係者があったという。
 田中社長は、
「IPOの目的は事業資金の調達に過ぎません。決して、創業者利益の確保が目的ではありません。最適なタイミングで株主の数を増やし、会社の信用を形成できれば良いんです。そうでなければ新興市場の存在意義自体が消滅する。世の中にはこういった経営手法もある、ということを示し続けるためにも、失敗はできませんね」
 といって苦笑する。
 壮大な事業計画を描き、莫大な創業者利益を得てから計画実現に四苦八苦するか。それともリアルな事業計画とリアルな株価で、時間をかけて資金調達するか。上場戦略はどちらが是か否か、容易には判断できない。
 上場予定日は3月16日。初値がどうなるか興味深い。
拝 映輔
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