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Last UP Date:2014-06-29
9/14・スターリングエンジン国際セミナー開催/2004-09-15
 9月14日、北大の学術交流会館大講堂において、スターリングエンジンに関する国際セミナー「バイオマスにおけるスターリングエンジンの可能性」が開催された。
 主催はNPO北海道新エネルギー普及促進協会(NEPA)。セミナーには全国から約100人が参加した。
 午前中に行われた基調報告では、独ECOS社から招聘されたウィルヘルム・メームケン氏が「スターリングエンジン、その歴史と新たな環境にやさしいエンジンとしての意義」をテーマに講演した。
 メームケン氏は、1816年にスコットランドの牧師、ロベルト・スターリングが発明したスターリングエンジンが、大規模蒸気機関に圧倒されて活躍の場を狭めていった19世紀と、発動や冷却など、運転形式によってさまざまな効果を発揮するスターリングエンジンの“熱機関”としての特性を活かし、宇宙開発や潜水艦の動力源、電子装置の冷却用にと応用範囲を広げていった20世紀を概括。21世紀初頭の現在、熱源を選ばず、低温域であっても温度差さえあれば運転継続が可能、メンテナンスが容易で高効率というスターリングエンジンの特性から、バイオマス発電や工場排熱を利用した発電、ヒートポンプとしての利用などに期待が高まっているとした。また、独フランクフルター・アルゲマイネ紙を引用してドイツの再生エネルギー関連分野の雇用が1998年の6万6600人から2002年の10万6700人まで急増している点を説明、再生可能エネルギーに取り組むことで、雇用が大きく創出できると強調した。
 同じく独ECOS社から招聘されたペーター・ベック氏も、「ヨーロッパにおけるスターリングエンジンの最近の展開~スターリングエンジンは燃料電池に先立って市場を準備できるか?」と題して基調報告を行い、自動車や鉄道の動力源、潜水艦を含む船舶の推進力、宇宙開発やコ・ジェネレーション、人口心臓など医療用や模型・教育用までさまざまな利用分野について、研究開発の進捗状況を報告。とくに実用化段階まで進んでいるコ・ジェネレーション分野について期待の高さを述べた。
 ベック氏はまた、コ・ジェネレーションの熱源にバイオマスをガス化した燃料(バイオガス)を利用する研究開発プロジェクト“DeBiT”を紹介、環境分野での応用の広がりに期待を示した。
 午後の事例報告では、NPO庄内エコ・プランニングの小島博氏が木質バイオマスを利用した“蒸気スターリングエンジン”製作の事例を、また北大大学院工学研究科資源工学の山形定工学博士が、バイオマスの液化・ガス化に関するさまざまな事例を報告。ダイシン設計の井上武雄常務が環境改善事業の中でスターリングエンジンを運用した事例、道立工業試験場の岡喜秋氏が、アイシン精機と製作したスターリングエンジンの高効率化の事例をそれぞれ報告した。
 質疑応答は、スターリングエンジンの運転に関する作動温度域の実例や、バイオマスのガス化と、直燃によるタール付着の問題などさまざまな実用的問題について集中、活発な討議が交わされた。
 なお、当日配布された資料の、「ヨーロッパ国際スターリングフォーラム2004の論文翻訳集」は、NEPAで有償頒布(1冊一般5000円/学生2000円)している。
●NPO北海道新エネルギー普及促進協会(NEPA)
 〒060-0004
 札幌市中央区北4西16 第一ビル
 Tel.011-616-3358
 Fax.011-644-7335
 http://www.hkd-enekyo.npo-jp.net/
●ECOS GmbH
 Westerbreite 7 D-49084 Osnabrueck Germany
 Tel.+49-541-9778-200
 FAX.+49-541-9778-202
 http://www.ecos-concult.com/
写真:上:北大学術交流会館で行われたセミナーの風景 写真:下:W.メームケン氏(左)とP.ベック氏(右)
拝 映輔
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