発行:Funahasi.Com & 北海道経済産業新聞運営委員会
Last UP Date:2014-06-29
Interview・佐渡宏樹氏・(株)北海道バイオインダストリー代表取締役社長/2004-09-19
北方系山野草を機能性食品に
道内大学発VBの“先進事例”
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 北海道東海大発ベンチャーであり、道内大学発VBの先進事例としても道内で注目されている(株)北海道バイオインダストリー(BIODO)は、道内の農産物の加工度が低いことに注目し、健康機能の研究開発による高付加価値化を担う“アグリ・エコ・インダストリー”を標榜して活動してきた。現在同社の商品群には、行者ニンニク、ヤーコン、タマネギといった北海道を代表する山野菜の加工食品が並んでいる。
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 ――創業は1997年9月でしたね。
 佐渡 もう7年経ちました。ある異業種交流会で北海道東海大の西村弘行教授をお招きし、講演して頂いたのがキッカケでした。“北方系山野草の高付加価値化”による“アグリ・エコ・インダストリー”の確立という、当社の基底をなすキーワードはこの頃つくられたんです。とは言え、創業当初はとくに核となるビジネスモデルもなく、ただ「行者ニンニク入りのギョーザでも売ろうか」などと、仲間と話し合っていただけでしたね。
 ――いまは、多くの特許を取得し、研究開発型の大学発VBになっています。
 佐渡 ヒレハリソウの消臭効果についての特許を取得したのが第1号です。その後、ネギ属植物処理物やタマネギに関する製法特許、含有物のトリスルフィドに関する特許など、一歩ずつ研究開発を進めて来ています。
 ――ヒレハリソウ(コンフリー)については、厚生労働省から食品としての使用禁止措置などが出されました。
 佐渡 使用禁止は6月14日に発表されたのですが、当社の商品のほぼ8割に、消臭効果を期待してヒレハリソウを添加していたため、商品回収などで一時、大変な思いをしました。しかし、当社ではヤーコンの消臭効果も研究していたため、なんとか凌ぐことが出来ております。ヤーコンにも消臭効果があるんです。ヒレハリソウに比べると約7割の効果なんですが。
 ――どの程度の損失になりましたか。
 佐渡 機会損失も含めると、数千万円になります。しかし、通信販売の新展開を企画していますので、何とか帳消しにできそうです。
 ――通信販売ですか。
 佐渡 9月より、九州地区のテレビ局で、テレビショッピング番組の放映を開始します。通販による固定客獲得を本格的に行い、当社が次の段階に向かうステップアップとしたい。番組はローカル枠ですが、その後放映地区を北上させて行き、10~11月には北海道でも放映したいと考えているんです。
 ――固定客の獲得目標は何人程度ですか。
 佐渡 1年間かけて、累計約10万人を獲得したい。商品の品質には自信があります。不足しているのは認知度で、今回はそこを向上させようと考えています。すでに通販用のサイトも構築し、コールセンターも準備しています。
 ――道内での認知度はかなり高いと思います。
 佐渡 周囲の環境が当社に向いていたことが理由の大半です。それ以外は、なかなか大変でしたよ。最初の通販顧客は、当社が所属している北海道中小企業家同友会の会員がほとんどで、広告宣伝も同友会内部だけだったんです。そうやって体力と相談しながら、次は町内への投げ込み、道内での広告展開と進んできました。大学発VBが国内で注目され始めたときに、たまたま当社が大学発VBとして存在していたことが理由として大きかったのですが、テレビ局や新聞などのマスコミも大変な協力をして頂きました。ですが、道内の市場だけでは、当社が目指す目標は達成できません。何とか自力ででも、道外への進出を果たす必要があるんです。
 ――どんな目標ですか。
 佐渡 北海道の農産物に競争力をつけることです。道内の農産物は低農薬で健康効果も高く、質が高いことは誰もが認めていますが、商品価値がなかなか高まらない。それで、まず健康機能を抽出して健康食品をつくり、加工度を高めて付加価値をつけようと考えたんです。北海道イコール健康というイメージが確立されれば、北海道の農産物ももっと売れるはずです。
 ――これからも健康食品の開発を続けていくわけですね。
 佐渡 当社は健康食品メーカーというより、食品加工メーカーでありたいと思っています。タマネギもサプリメントがありますが、どちらかというと業務用に開発したペーストの方を売りたいですね。どちらもBRC(バイオラショナルコントロール)製法を使用しており、健康効果は高いですから。 道内産野菜の加工度も、少しずつ上げていきたいんです。それを道内企業の手で行うことが出来れば、北海道にとって大きなプラスになる。タマネギペーストの成否は、北海道の今後の命運を賭けているといっても過言ではないと、私は思っているんです。
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 北海道バイオインダストリーは、北方の気候に適した山野草から健康機能を如何に抽出するかを研究し、サプリメントとしての健康食品から、タマネギペーストといった加工食品を提供する段階に到達している。業務も研究開発した製品の通信販売だけではなく、業務用加工食品のメーカー向け取引(B2B)へと進もうとしている。地道に、着実に歩みを続けた同社に、ホップ・ステップ・ジャンプの跳躍を果たす機会が近づいている。
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さど ひろき
1946年11月9日、旭川市生まれ。69年北星学園大社会福祉学部卒業後、ヨコハマゴム入社。75年に退社し、ハマ(株)を設立、現在代表取締役。89年に異業種交流グループ「一水会」を創設し、中核メンバーとなる。97年、(株)北海道バイオインダストリーを設立、現職。97年11月からエア・ドゥが民事再生法適用申請する2002年6月まで、エア・ドゥクラブ運営理事を務める。2002年より北海道教育委員会起業化教育講師。
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●(株)北海道バイオインダストリー
 札幌市豊平区平岸7-14-3-43
 Tel.011-812-2512
 Fax.011-812-6895
 http://www.bio-do.co.jp/
●BIODOお客様センター はまや
 Tel.0120-135-545
 Fax.011-812-6895
 http://www.hama-ya.com/
写真:佐渡宏樹氏
拝 映輔
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