セイコーマート、ATM網展開に着手/2004-04-02 |
CVSチェーンのセイコーマート(札幌市)は、4月1日からイーネット(東京都)と提携してCVS店舗内ATMの展開を始めた。 利用可能時間は原則として7:00~23:00(土日祝、入金操作等は21:00)、カードは北海道銀行、北陸銀行をはじめ提携25銀行が発行する各キャッシュカードのほか、MICS加盟の各金融機関や郵便貯金、またJCB、VISAなどクレジットカードもキャッシングに利用出来る。ATM設置店は、セイコーマートの札幌市内および近郊39店舗。5月には北洋銀行もイーネットに加盟し、利用可能になる。今後、利用状況に則して順次、札幌圏を中心に拡大を図るとしている。 全国に約1000店舗展開し、道内最大手CVSとして知られるセイコーマートだが、ATM設置には懐疑的だったという経緯を持つ。現在も、店舗利用客とATM利用客との相関について特別の期待をかける様子もなく、 「ATM利用者の期待値は380人/日。自律回転しなくとも、顧客利便性に対するCVSとしてのコスト負担の一部と考えている」(セイコーマート・赤尾昭彦社長) と、淡々としている。 セブン・イレブン=ジャパン、ローソンなど他のCVSチェーンも続々と道内でATM網を展開する中、道内を基盤とするセイコーマートも対策に乗り出した形だ。 ところで今回のATM網導入のキッカケを作ったのは、セイコーマートに出資している伊藤忠の系列CVSチェーン、ファミリーマートの紹介によるものという。 セイコーマートは伊藤忠商事とともに三菱商事からも資本参加を受けている。北海道に本拠を置き、自らも世界各地に仕入れルートを構築しているセイコーマートにとって、全国的、国際的情報力は経営判断に不可欠な要素である。 セイコーマートは酒類製造(北の誉酒造)と卸売事業(丸ヨ西尾)が源流。系列酒販店が苦境に陥った1971年に、直接消費者と向き合う形で設立された独自システムによるCVSチェーンである。加えて現在ではスパー、ハセガワストアなど合計3種類の店舗ブランドを展開中だ。 また同時に、水産加工、農産、日配品、乳製品、写真現像まで各種のPB(プライベートブランド)商品をもっており、それらを製造・配貨するグループ企業15社を持ち、バックヤードシステムの構築にこれまで心血を注いできた。 「現在、バックヤードシステムは配貨だけではなく周辺生産者からの集貨機能も備え、独自製造販売によるコストダウン効果も十分に機能している。今後これらの経営資源をどう活かし、生き残りを図って行くか。原料調達や商材輸入など、流通の世界は国際化が急速に進展しており、その中で選択肢を広げるには商社の情報力が不可欠だ」(同社・赤尾社長) すでに同社では、商社を介した段ボールの輸出や生乳原料のメーカー向け販売など、グループ内では地域性を生かした小売チャンネル以外の販路も拡大しつつある。 独自の製造開発グループを擁し、製造・卸など川上から川下の小売部門まで販売チャンネルを持つに至ったセイコーマートは、次の時代にどう対応し、変化していくか。
拝 映輔
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