発行:Funahasi.Com & 北海道経済産業新聞運営委員会
Last UP Date:2014-06-29
Interview・瀬戸武氏・札幌駅地下街開発(株)(APIA)代表取締役社長/2004-10-16
統合しても「APIA」は不変
5年の歴史をフェアに還元
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 JR札幌駅の南口に展開する地下全天候型ショッピングモールとして知られる、札幌駅南口広場地下街「APIA」。1999年10月にオープンし、今年5周年を迎えた。APIAを運営する札幌駅地下街開発㈱は、来年秋に札幌ターミナルビル㈱(ESTA)、札幌ステーション開発㈱(PASEO)、札幌駅南口開発(STELLAPLACE)と4社合併し、経営一本化による、より効率的な管理運営を目指す。同社のもとで迎える最後の“周年事業”に胸中を聞いた。
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 ――アピアがオープンして5年経ちました。
 瀬戸 南口の風景をみていると、よくぞここまで再開発を進めてきたものだと、感慨にふけることがあります。まさしく感無量です。オープン当時はAPIA以外、いまの南口を形づくるものは全くなかったんですからね。
 ――南口再開発の第1弾としてのオープンは、強く印象に残っています。
 瀬戸 そうですね。当時は大通が中心だった札幌の商業構造ですが、中高生がアピアに注目してくれて、札幌駅周辺にも大きな集客効果をもたらした。アピアは、いまのステラプレイスの隆盛に、文字通り最初のインパクトになったんだという認識は、いまでもありますね。テナントの方々にも、これは誇りにして良いことなんだと言っていますよ。
 ――オープンまでは、かなり苦労されたでしょう。
 瀬戸 そうですね。私がここにきた94年当時は、ちょうどステーションデパートの立ち退き問題でテナントさんたちが駅地下リニューアルに反対していた頃でした。とにかく彼らの協力なしに新しい地下街は生まれない。理解と信頼を得るために、毎日走り回っていましたね。まず魅力あるマチづくりをしていかないと、必ずお客様に飽きられる。郷愁に囚われるあまり、未来に目を向けることを忘れてはいけないと、いつも熱くなって説得していた記憶があります。
 ――それで、リニューアルが可能になった。
 瀬戸 最初に声が届いたのは、女性の店長や店主の方々でした。大きな力になってくれましたし、彼女たちがいなければ、これだけの大きな仕事は為し得なかったと思いますね。
 ――開業後、5年間の変化はどうですか。
 瀬戸 とにかくオープン直後の混雑は物凄かった。札幌市内のあらゆる場所からアピアに来たのではないかというほどでした。南口の全面開業後は、大丸札幌店やステラプレイスなど新たなライバルが登場し、それほどの混雑は見られませんでしたが、テナントさんの努力でお客様の繋ぎ止めにもどうやら成功したようです。最近になってやっと売上高も、南口開業以前の水準に戻って来たところです。 ――5周年記念の“感謝祭”はいかがでしたか。
 瀬戸 9月30日の前夜祭を皮切りに、10月11日まで開催させて頂きましたが、アピアドーム下の太陽の広場などでは、プレゼントに並ぶお客様の列を見て、久しぶりに賑わいが感じられ、懐かしい思いでした。
 ――「芸能人の多彩な美術展」も開催されていました。 瀬戸 一昨年、アピアのライラックホールで開催したのが、この展覧会の道内第1回目の開催だったんです。事情があって2回目は別の場所で開催されたようですが、こういった行事が地下街で行えることもアピアの特徴です。今後も継続的に開催されれば、嬉しいですね。
 ――今後は来年秋の4社合併が控えています。
 瀬戸 経営が一本化したとしても、各ゾーンの個性や特徴まで失くしてしまう必要はないと思いますよ。アピアの特徴は、通勤客や買い物客、観光客などを分け隔てしない意識の高さと、ほっと一息つける優しい空間。マンネリに陥ることなく、働く人たちが良い意味でのライバル意識を持って、個性を磨き、高めて行って欲しいですね。テナントさん達がけっして不利になるようなことがなく、引き続き安心して商売をして欲しいと思います。会社のスタッフにもテナントさんたちにも、聞かれるとよくそういう話をしています。
 ――最後に、もっとも印象に残ることは。
 瀬戸 何といってもアピア開業ですね。アピアが札幌駅南口の再開発に果たした役割は大きいと思います。再開発の尖兵を務めたという自負はありますね。
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 5周年を迎えたアピア。そして、この場所に深い愛情を注ぎ続けた瀬戸氏。来秋には4社が合併し、「札幌駅地下街開発」の社名は消えていくが、ステーションデパート時代から変わらぬ懐かしさをもって、行き交う人びとに親しまれる「アピア」の存在は、変わらず続くことだろう。
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せと たけし
 1949年生まれ。新得町育ちで、57年帯広柏陽高卒業後、日本国有鉄道(国鉄)入社。84年同釧路鉄道管理局総務部人事課長、88年JR北海道総務部勤労課長、90年同取締役釧路支社長を経て、94年札幌駅地下街開発(株)代表取締役専務、96年現職。
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●札幌駅地下街開発(株)
 札幌市中央区北4西4 伊藤加藤ビル
 Tel.011-281-2806
 Fax.011-281-2807
 http://www.jsd.ne.jp/APIA/
写真:瀬戸 武氏
拝 映輔
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