サッポロビール博物館リニューアル・札幌工場の「釜」を展示へ/2004-10-30 |
サッポロビール博物館(霜田忠興館長)は、日本唯一のビール博物館という異色の存在であり、北海道遺産の第2次選定では“苗穂工場群”として、周辺工場とともに北海道遺産の指定も受けている。同館は現在、工場跡地の再開発に伴なう全面リニューアルを目指して、12月中旬の再オープンに向けた工事に入っている。 工事の目玉は、1965年の札幌第2工場創業以来、昨年3月までこの地で稼動していた工場のビール醸造用煮沸釜(ウォルトパン)の設置だ。 釜は(株)三宅製作所製で、直径約6m×高さ約6.5m、容量は85Klで重量約13.5t。展示の際の柱脚と煙突部分を含めると全高約10mに及ぶ。もともと、同博物館に展示されていた釜は、九州工場(門司工場)で稼動していたものだが、“発祥の地、札幌に建つ博物館”として、今回のリニューアルに際し、この地に工場があった証でもある札幌工場の釜への交換に踏み切った。 巨大な釜を運び込む工事だけあって、方法も複雑だ。まず、釜を底部と胴部、登頂部の3パーツに分解し、博物館の屋根に穴を開けて底部をクレーンによって搬入、柱脚と固定した後、胴部を搬入し、リベットで底部と結ぶ。最後に登頂部を搬入、リベット止めして屋根を修復し、完成となる。搬入だけでも10月29日朝から11月1日まで、実動3日間を要する大工事である。 工場跡地では、イトーヨーカ堂の再開発が2005年末のオープンを目指して計画中であり、1890(明治23)年に建設され、製麦工場として利用された博物館の建物も、四方から来場者の目に晒される。そのためリニューアル工事も、外装の清掃から「★サッポロビール」の煙突サインの追加・塗り替えまで多岐にわたる。約3億円の予算をかけ、ここは新しいサッポロビールの“聖地”に生まれ変わるわけだ。 リニューアル後の博物館のコンセプトは、“北海道・札幌の人々と、北海道が生んだサッポロビールの原点と未来を共有する”。ビール産業史全体を見ることができるスペースと、明治期以来100枚以上の同社ポスターを集めた「ADコレクション」、サッポロビールの歴史や札幌工場の記憶を描き、ビール試飲コーナーなどを備えたサッポロビールの展示スペースがあり、釜はふたつのフロアを繋ぐ通路の中心に設置される。 「1987年の開館以来、博物館を訪れるお客さまは8割がたが観光客で、地元のお客さまが少ないという特徴がありました。リニューアル後は地元の方たちにも愛される博物館として、ぜひ存在をアピールしたいですね」 と、同博物館の霜田忠興館長は語る。 ●サッポロビール博物館 〒065-8632 札幌市東区北7東9 Tel.011-731-4368 http://www.sapporobeer.jp/brewery/Sapporo/sapporo.html museum@sapporobeer.jp
写真:上:クレーンで吊り上げられる釜の胴部 写真:下:博物館内に運び込まれる釜(いずれも10月30日撮影) 拝 映輔
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