発行:Funahasi.Com & 北海道経済産業新聞運営委員会
Last UP Date:2014-06-29
11/11~11/12・「北海道バイオマスセミナー」滝川市で開催(下)/2004-11-16
 前日のセミナーに引き続き、11月12日には現地視察会が行われ、中空知衛生施設組合の広域ゴミ処理・生ゴミバイオガス化発電施設「リサイクリーン」と、JAきたそらち雨竜支所にある「もみ殻利活用研究開発共同生産実証試験施設」の視察が行われた。
「リサイクリーン」は、芦別市、赤平市、滝川市、雨竜町、新十津川町の3市2町で形成する広域ゴミ処理事業組合の生ゴミバイオガス化・可燃ゴミ中継用施設として約33億円の事業費をかけて建設され、2003年9月に稼動した。
 施設は金属やPETなど資源ゴミや粗大ゴミ、不燃ゴミなどを処理するリサイクルプラザ(地上2F・地下1F、4800平方m)と、可燃ゴミ等を集約して赤平市の焼却施設へ中継する中継施設(地上2F、1300平方m)、生ゴミをメタン発酵させてバイオガスを生成、発電する高速メタン発酵施設(地上2F・地下1F、5300平方m)、および管理棟からなる。
 同施設は、3市2町から発生する一般廃棄物、年間約2万5000tを処理している。そのうち生ゴミは年間約9000tが運び込まれ、そこからメタンガスを年間約94万立方m生産し、デュエルフューエル式のディーゼル発電装置によって年間約2000MWHを発電するという。
 メタン発酵システムは35~37℃で発酵させる中温型であり、
「60~70℃で発酵させる高温型だと、メタン発生量は豊富になるが、加温のためのエネルギーが必要となります。寒冷地の北海道で高温型は不利と考え、中温型を採用しました。トータルのコストパフォーマンスは高温型と比較すると良い結果が出ているようです」
 と、滝川市市民生活部環境課の小田真人課長は言う。問題点は、生ゴミ内に混入する異物であり、稼動開始から1年余りで約700回の停止・除去作業を行ったとか。
 もう一つのもみ殻利活用研究開発共同生産実証試験施設は、JAきちそらち雨竜支所のライスコンビナート内に設置されており、もみ殻を圧縮・加温して成形するトロムソ社製の圧縮成形機1基と、粒状のまま炭化させるもみ炭製造機2機、成形されたもみ殻成形棒を炭化する炭化装置1基、酢液蒸留器1基、炭化した成形棒を粉砕する粉砕機1基が、試験建屋(平屋建、300平方m)内に設置されている。
 ライスコンビナートから発生するもみ殻は、年間約1万6000立方m。そのうちの約4000立方mを原料として使用し、もみ炭約500立方m、酢液約50kl、成形棒約250tを年間に生産する。成形棒は比重でもみ殻の約12倍に圧縮されており、貯蔵性に優れている。これを炭化することで燃料としたり、あるいは形状を変えて畜産用の敷料にしたりと、すでに需要も開発されつつあるという。もみ炭などは土質改良に自家消費される。
 総工費は約1億円。共同研究先の資源エネルギー活用事業協同組合(旭川市本部)の伊勢哲郎代表理事((株)アイ・セック代表取締役)は、
「毎年大量に発生するもみ殻は、まさにバイオマス資源の筆頭に数えられる。炭化すると備長炭に匹敵する火力を持つ成形炭が出来あがるし、圧縮した敷料も好評。これからも試験を続け、需要を開発していきたい」 と語った。
 バイオマス資源の利活用は、今後必要性が急速に高まる重要な課題だ。だが、それに取り組もうとする試みは、資源と同様に“分散的”。今回のようなセミナーが、各所で行われている取り組みや知見を結ぶ役割を果たすことを期待したい。
写真:1:リサイクリーン施設 写真:2:左:生ゴミを破砕する装置・右:バイオガスディーゼル発電設備 写真:3:圧縮成形機 写真:4:左:炭化装置・右:生産された製品。上より成形棒、成形棒炭化製品、敷料のカールチップ
拝 映輔
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