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11/22「ともにベンチャー向け直接投資の窓口を」・大証米田社長が札証アンビシャスクラブで講演
/2004-11-22
11月22日、札証ベンチャー向け市場「アンビシャス」に、上場を目指す企業等が組織している、アンビシャスクラブの研修会、「アンビシャスクラブセミナー」が開催された。
講師は(株)大阪証券取引所の米田道生代表取締役社長。「大証ヘラクレスの現状と今後の取り組み」と題して講演した。
世界初の取引所経由による先物取引となった、1730年の大阪堂島米会所による帳合米取引に端を発した大証の歴史を、1878年の(株)大阪株式取引所設立、戦後の証券会員法人への改組、1983年の新二部創設、1987年、国内初の株式先物取引である株先50創設、日経225先物、同オプションの創設、2000年のナスダック・ジャパン開設から、2001年国内初の株式会社改組と今年のヘラクレス市場上場まで、現況も含めて概説した。
「日銀札幌支店長として赴任したのは、ちょうど拓銀破綻直後の1998年。このときの混乱によって、関節金融偏重の国内金融システムに疑問を抱き、直接金融システムの強化が急務だと感じた。北海道は開拓精神が色濃く残り、新しいものごとに挑戦できる土地柄。当時も今回参加した企業関係者と、さまざまな意見交換をしたことが記憶に残っている」
と最初に語った米田氏は、講演中、
「大阪も、新たなものをイノベーティブに創造していく土地柄。証券取引所間の競争でも東証に現物取引が一極集中しているが、先物やオプションなどデリバティブ取引については大証が国内最大の取引規模を誇っている」
と言い、続けて、
「直接金融を必要としているベンチャー企業に対してはヘラクレス市場を開設し、105社の上場実績(2004年10月末)を得ている。市場全体の上場銘柄1094社に対して、大証単独上場銘柄は367社に過ぎないが、重複銘柄の中にも、東証より大証の方に売買が多い、いわゆる“大証銘柄”が数10社あるのが特徴だ」
と解説した。
今後の戦略については、
「ベンチャー企業への直接投資の門戸を広げる意味で、大阪府等と連携してベンチャーファンドを開設し、上場している。ほかにもアジア諸国・地域向けのカントリーファンドやPFI債券、ETFやREITといった新商品を開発し、取引を行っている。同時に取引所のコスト削減に務めて利用者への還元を図っている。2004年3月期では、営業収益が株式会社化前と比べて微増の約100億円に対して、営業利益はほぼゼロから約28億円の黒字にまで収益性を高めている。黒字になれば、上場手数料や売買手数料などで、利用者に対して還元を図ることも可能になる」
と概括、札証に対しては、
「僭越な話になるが、コスト削減と地域企業の発掘は両立させるべき。運用市場は低コスト運営を旨とするので大証などに集中させ、地域に必要な発行市場として企業発掘を積極的に進める道もある。今後、さまざまな分野で協力し合いたい」
とエールを送った。
2003年12月に札証未来戦略研究会座長として最終報告書をまとめた、北大経済学部の浜田康行教授は、
「大阪には、将来を考える頭脳と地域経済を支える胴体、独自の文化を保持する下半身がしっかりと存在している。翻って北海道をみてみると、頭脳、胴体、下半身ともに脆弱。ここに集まった企業関係者には、胴体部の強化につとめて頂きたいが、不足する部分は、大証など“持てる地域”に拝借しても良いのではないか」
と応えた。
札証未来戦略研究会の最終報告には、地域資本市場の構築や、他市場との連携によるベンチャー向け市場の構築など、大胆かつ戦略的な提案がちりばめられている。先達があるなら、知恵を借りるのも判断のひとつだ。
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写真:上:米田道生氏 写真:中:セミナーの様子 写真:下:浜田康行氏
拝 映輔
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