CAMUIロケット・エンジン赤平市内で燃焼実験「目標高度は50km」/2004-11-27 |
NPO法人北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)が推進しているCAMUIロケットの「新型エンジン燃焼実験」が、赤平市内の機械製造業、(株)植松電機(赤平市本社、植松清代表取締役社長、資本金1000万円)の敷地内で行われている。 CAMUIロケットとは、北大(院)工学研究科機械科学専攻宇宙環境工学講座 宇宙環境システム工学分野の永田晴紀助教授が開発しているロケットエンジンであり、酸化剤に液体酸素、推進剤にアクリルなどの樹脂を用いるハイブリッドロケットのこと。推進剤の形状に工夫が凝らされており、縦列多段衝突噴流方式(Cascaded Multistage Impinging-jet CAMUI)と呼ばれている。 すでに基本技術では実験によって固体ロケット並の推進力を確立しており、2002年3月には、液体酸素を用いたハイブリッドロケットとして、世界初の飛行に成功している。また、飛行に成功したモデルは研究者用に販売も開始されている。 今回は、従来用いられてきた推力50kgf級(目標高度2000m)から、推力200kgf級(目標高度50000m)のスケールアップ版を開発するための予備実験になる。高度50000mが達成されれば、無重力実験から気象観測ロケットなどへと、実用の範囲が大幅に広がる。今回準備されたものは、推力70kgf級の植松電機製実験モデル。 実験は講座の学生らによって行われ、11月26日は2回の噴射が行われた。途中、スペーサーの材質変更や酸化剤の噴射圧力などを調整しながら行われるため、1回の噴射に約3、4時間を要したが、推力自体は60kgf~70kgfを示し、目標を達成した。同時に、最終段に設置されたステンレス製の燃料支持リングが溶解するなど、今後の変更点などもいくつか発見された。今後も燃料形状や燃焼室形状、材質など諸条件を変え、実験を続けながら最適化を図っていく予定だ。 プロジェクト内で使用される燃料や周辺設備は、全て道内で生産可能である。道工大の佐鳥新助教授が開発した超小型姿勢制御エンジンを使用するマイクロサット「北海道衛星」の開発も進められている。HASTICでは、最終的には数百人規模の宇宙関連産業の創出を目指している。 CAMUIロケットの最終目標高度は110km。最終的には北海道衛星の打ち上げに利用されるかも知れない。 ●NPO法人北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC) 〒060-0819 札幌市北区北19西11 科学技術振興事業団(JST)研究成果活用プラザ北海道内 Tel.011-708-1617 Fax.011-708-1185 http://www.hastic.jp/
写真: 拝 映輔
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