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Last UP Date:2014-06-29
第2回市電フォーラム・市電の存廃問題を考える/2004-12-04
 12月4日、札幌市内の札幌すみれホテルにて、札幌市が主催する第2回市電フォーラムが開催された。
 このフォーラムは、現在毎年約1億円の赤字になっており、今後、設備の維持に90億円程度の投資が必要になるといわれている市電=路面電車の存廃問題を考えるため、札幌市が主催して市民の意見を集約するためのもの。
 今回のテーマは「市電の存廃問題を考える」。市民の中から4名が意見を発表し、その後、意見発表者に加え、札幌狸小路商店街振興組合の竹内宏二理事長、北海学園大法学部の樽見弘紀助教授をパネルに加えてパネルディスカッションを行った。
 課題は、沿線人口が増加しているにもかかわらず、利用者が年々減少傾向にあること。意見の中にはやはり、「90億円もの財政出費をしてまで守るべき存在ではない」という声や、「沿線住民がいままで必死に守ってきたもの。多少赤字であっても存続すべき」といった立場が交錯した。
 今回のフォーラムで注目を浴びたのは、市民政策グループ「LRTさっぽろ」が提言している“市電10km”構想。いままで議題とされてきた山鼻線・西線の計8.5kmに範囲を留めていては、活路が見出せない。そこで、いままでの市電をLRT化し、今後少子高齢化が進み、規模縮小が確実視される札幌市街圏の“新たな交通システム”として再編しようというアイデアだ。
 市の計画では、90億円の投資は純粋な設備更新・維持費に充当され、増収策な関しては全くの白紙であるが、このプランによれば、10年間・約200億円の投資によって中心市街地に歩行者空間を創出し、市電をLRT化し、バリアフリー性の高い交通システムに再構築することで、約400億円の税収増を見込んでいる。
 フォーラムは、今年度末までと結論のタイムリミットを切っている札幌市側に、2年程度の期限延長と、“LRTさっぽろ”の政策提言を精査するよう提言、
「市役所内部だけで意思決定するのでは、アイデア不足に陥る。市民の側から政策提言があるのだから、これを叩き台としてメリット・デメリットを精査し、オープンな場で議論して結論を出すべきだろう」(樽見氏)
 との中間的な結論を得た。
 だが最後に札幌市側から、企画調整局の高宮則夫総合交通計画部長は、
「皆さんの貴重な意見を聞くことが出来た。市では今年度末に存廃について結論を出したいと考えている」
 と、フォーラムの提言には全く触れずに挨拶した。
 市電の存廃についての議論の場は、これで2回目。今回は市民側から具体的な政策提言があったわけだが、市は真剣に“LRTさっぽろ”の政策提言を俎上に乗せる気があるのだろうか。もしないのなら、やはりそれは“市民不在”の市政ということになりはしないか。
写真:フォーラムの様子
拝 映輔
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