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Last UP Date:2014-06-29
第6回michi-mirai倶楽部セミナー「北海道の土木遺産と道」開催/2004-12-24
 12月24日、札幌市内のホワイトキューブ札幌(北区北9西2)で、北海道みちとくらしと未来のネットワーク委員会主催による、第6回michi-mirai(みち・みらい)倶楽部セミナーが開催された。
 同委員会は2002年に組織され、これまでもシーニックバイウェイ運動の推進や廣井勇没後75周年記念シンポの開催などの活動を行ってきた。
 今回のテーマは「北海道の土木遺産と道」。(社)北海道開発技術センター(DEC)主任研究員の原口征人氏が、北海道遺産や土木学会による選奨土木遺産などで、近年注目が集まっている土木遺産について語った。
 おもに札幌農学校2期生として土木工学を学んだ廣井勇と、国内土木工学史上の嚆矢ともいえる札幌農学校工学部の業績に触れ、廣井勇が建設に携わった小樽港北防波堤のテストピースや、彼の教え子である岡崎文吉の単床ブロックなどの土木遺産について、歴史的背景を紹介した。
 札幌市開基の基点となった創成橋も、原口氏の講演によれば、石造の貴重な遺構であるという。また、この橋が再開発によって架け替えの必要が生じているとも語られた。
 第2部のフリートークセッションでは、五十嵐日出夫委員長(DEC会長・北大名誉教授)が、「現状では全てを土木遺産として保存するわけにはいかないのが事実。巨額の資金と膨大な労力、叡智を注いで造られた土木施設は、目的があいまいだと完成した頃には時代遅れになる。土木遺産を保存するにせよ解体するにせよ、土木工学のあり方には、将来を見据えて地域の知恵を集約した姿を望みたい」
 と語り、原口氏も、
「現在、土木遺産とされているものには、当時の技術者が解決しようとした課題と、それに対する回答が実際の構造物となってそこにある。地域の歴史を知る上でも、貴重な教材になると思う。そういった部分を読み解き、紹介することが地域理解を深めることにつながる」
 と応えた。
 急速な開拓の必要性とエネルギー需要への期待から、明治期に建設された道内の土木施設には特筆的なものが多く、その意味では、歴史の背景を読み解くために価値の高い遺構は道内にはまだまだある。それらを収集し体系化することは、土木史研究と同様に、地域にとっても重要な意味を持つ。
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写真:五十嵐日出夫氏(左)と原口征人氏(右)
拝 映輔
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