発行:Funahasi.Com & 北海道経済産業新聞運営委員会
Last UP Date:2014-06-29
Interview・霜田忠興氏・サッポロビール博物館長/2005-01-30
来場者とのコミュニケーションを第一に
「サッポロ」と「ビール」の歴史伝える
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昨年12月に約3億円の改修費用をかけてリニューアルしたサッポロビール博物館。9代目館長を務める霜田忠興氏は2003年に就任した。博物館では、前職として生ビール品質推進部長を5年間務めた霜田氏が、ビールそのものにとどまらず、ビールの歴史にも愛情を注いでいる。
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 ――リニューアルオープンおめでとうございます。
 霜田 ありがとうございます。札幌の街と共に発展してきたサッポロビールの歴史が、この建物自体に染み込んでいます。売り上げに直接結びつく施設ではないかもしれませんが、サッポロビールのイメージを少しでもわかりやすく伝えて行きたい。企業博物館としての展示の良し悪しも重要なんですが、それよりさらに大事なものがある。
 ――大事なものですか。
 霜田 スタッフとお客様とのコミュニケーションです。何と言っても印象に残るのは、コミュニケーション。良いコミュニケーションを通じて良い印象を残してもらえるよう努力したいと思いますし、その部分を評価して頂けたら、一番嬉しいですね。北の大地に生まれ、育まれたサッポロビールの良き企業イメージを作っていきたいと思っています。
 ――なるほど。具体的にはどのようなことを考えていますか。
 霜田 30人程度のお客様を対象に、年に3〜4回はビール講演会を開催していくつもりです。また、コンサートもやっていきたいですね。アマチュアの方にも積極的に使って頂いて、地域の文化的交流に役立てていきたい。
 ――この建物は、北海道遺産にも指定されましたね。
 霜田 博物館の建物は、1890年に札幌製糖工場として建設されたレンガ造の建物です。道庁赤レンガと同じ産地のレンガでもあり、87年にアジア初のビール博物館として開業したのも、この歴史ある建物を有効活用したいと思ってのことですね。北海道遺産に選定されたのは、昨年10月のことです。正式な登録名は「札幌苗穂地区の工場・記念館群」になっていまして、ほかにも雪印史料館、JR北海道の鉄道技術館、福山醸造の工場などが一緒に登録されています。じつは苗穂地区には再開発構想が持ち上がっておりまして、苗穂地区のまちづくり協議会がJR苗穂駅の建て替えも含めたマチづくりを考えています。一緒に取り組んでいって、ぜひお役に立てればと思っています。観光客も大事ですが、札幌市民ともより身近に、親しく接していくことが出来る施設にしたいですね。
 ――マチづくりですか。
 霜田 まちづくり構想の中に、4施設などを有機的に繋いだ苗穂地区ミュージアム構想というものがあるんです。住民や行政、企業も一体になった形で、理想的な街を創っていくことができればと思っています。
 ――ところで、入場者数の目論見は。
 霜田 2003年の当館の入場者は約11万人いました。昨年はリニューアル工事がありましたから前年実績を下回りますが、2005年は11万〜12万人の入場を見込んでいます。
 ――館長のご趣味は。
 霜田 無趣味というか、趣味はビールですね。ビールのことは何でも知りたい気持ちから、社内ではビールアドバイザーの資格を取りました。ビールの歴史や製造工程、美味しく注ぐ方法や、保管の方法など、ビールについての全てを学ぶ資格です。博物館長になってからは、意外と役立っていますよ。
 ――なるほど。ビールが好きというのがよくわかります。
 霜田 観光客も大勢みえる博物館という仕事柄、札幌商工会議所の「札幌シティガイド」という資格にも挑戦しました。テキスト首っ引き、資料と格闘しながらやっとの思いで取った資格ですが、実際のガイドを行うとなるとどうでしょう。自信がありませんね(笑)。
 ――お客様の質問も多岐に渡るのでしょう。
 霜田 展示物の説明や紹介などは出来るんです。質問なども事前に準備しておいて頂けると、その場で説明しやすいですが、問題になるのは、その場で出て来る素朴な質問です。以前も質問に答えられず、「後ほどご連絡します」といったケースが何件かありました。いまは、こちらの方から「なるほど」と感心してもらえるようなデータを準備し、機先を制してこちらからお話するようにしています。
 ――毎日が勉強ですね。
 霜田 実は長野県の出身なのですが、長野県人は負けず嫌いの知りたがりなんです(笑)。一度でもいいから、発祥の地である札幌に勤めたいと思っていたんですが、50歳も過ぎて「これは無理かな」と思っていた頃、7年前ですが異動が決まってバンザイをした記憶があります。
 ――リニューアル後の博物館の営業時間は。
 霜田 リニューアル前は9:00開館、16:00時閉館(15:40最終入場)という時間割でしたが、少し時間を延長しました。冬季は16:30閉館(16:00最終入場)、夏季は17:30閉館(17:00最終入場)です。開館時間内はもちろん、閉館時間後でも時にはコンサートなどで地域の皆さんとの交流が出来る機会を作りたいというのが、私の考えです。
 ――どんな博物館を目指していますか。
 霜田 「トリビアの泉」ですかね。こんなビールもあるぞとか、サッポロビールにはこんな人も関わっていたのかとか、果てはグラスの洗い方なども含めて、ビールに関することはほぼ全てがわかる場所にしたいですね。何度でも見学に来て頂けて、その都度新しい発見があるような場所を目指しています。ビール好きに限らず、是非とも多くの方に足を運んでもらいたいですね。
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 霜田氏が取得した「札幌シティガイド」は、2004年度が第1期。つまり初代の有資格者である。ビールをこよなく愛する霜田氏が、丹精を込めて調べ上げたビールの歴史とサッポロの歴史を、この博物館では展示している。
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しもだ ただおき
 1947年、長野県生まれ。1969年慶應義塾大卒業後、サッポロビール入社。92年名古屋西支店長、96年埼玉支社市場開発部長を経て来道。98年札幌生ビール品質推進部長を経て、2003年より現職。
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サッポロビール博物館
年中無休(12月29日〜1月5日除く)
開館 冬季9:00〜16:30(16:00入館終了)
   夏季9:00〜17:30(17:00入館終了)
〒065-8633
 札幌市東区北7東9
 Tel.011-731-4368
 http://www.sapporobeer.jp/brewery/s_museum/
写真:霜田忠興氏
拝 映輔
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