2月9日にあしる工房が豊平神社にてPC教室を開設したのは、本誌でも紹介した通りである。神社など、今時の人の寄りつかないような立地でのこうした試みについては、否定的な意見も少なくはない。やはり、現代の交通や移動の要所である、幹線道路沿いや地下鉄等の駅前などでの開催が望ましいと思われがちだ。特に、モータリゼーションの進む現代では、ロードサイドで駐車場が完備されたショッピングモール等での出展が有利と考えられる。 実は、北海道外では類似した試みが幾つか成功を収めている。そのうちの一つが、愛知県西尾市のNPOママネットが開催するお寺の境内での託児ビジネスだ。愛知県も今ではモータリゼーションが進み、商店街など旧来のメインストリートが寂れているなど、立地としてはロードサイド+駐車場というのが必要不可欠といわれている。 当然、託児ビジネスのメイン顧客であるママさんは、運転免許を持っているし、買物は郊外のショッピングモールを活用する世代でもある。 にもかかわらず、こうした昔ながらの場所でのビジネスは一定の成功を収める事ができる。そのポイントは、本来、神社やお寺というのは、そのコミュニティの成員が皆で寄り合いやすい場所に立地されており、その地域に住んでいれば、無理なくアクセスできるという性質がある事が多いのだ。色々な意味で、地域の重心とも言えるとても美味しい立地なのである。いわば、地域コミュニティを対象にしたビジネスをする上で、最も有利な立地でもあるのだ。 確かに、そのお寺や神社を使うことによって、今時は宗教色が出ると嫌われる商売も少なくないだろう。また、北海道のような新しい地域の場合、全ての神社やお寺が、必ずしもコミュニティの中心地に作られていない事もある。その地域や歴史をきちんと調べて、踏まえた上で、こうした昔乍らの地域情報プラットフォームでもある社寺仏閣をコミュニティビジネスの場として、活用してみてはどうだろうか。また、加えて地域のコミュニティの再活性化だけではなく、場所を提供する、社寺仏閣に対する認識の変化など、宗教界にとってのメリットも計り知れない。 こうした協業が進む事を望む。
舟橋正浩
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