発行:Funahasi.Com & 北海道経済産業新聞運営委員会
Last UP Date:2014-06-29
2/19・足寄町の“挑戦”。木質バイオマスシンポジウム「木質ペレットの挑戦!」開催/2005-02-21
 2月19日、足寄町のあしょろ銀河ホール21(ふるさと銀河線足寄駅)で、道水産林務部主催のシンポジウム・木質バイオマスシンポジウム「木質ペレットの挑戦!」が開催され、約150人が参加した。
 足寄町では、未利用森林資源の活用策として木質ペレットの製造に着目し、とかちペレット協同組合が年間2000t級のペレット製造施設を導入。改装新築が進められている役場庁舎にも木質ペレットを主燃料とするボイラーが設置される計画という。
 基調講演には、元九州大北海道演習林長の信州大学農学部岡野哲郎教授が、「木質エネルギー利用の必要性と地域への効果」と題して、二酸化炭素吸収量と排出量が等しい「カーボンニュートラル」なエネルギー源としての森林資源の特長と、木質エネルギーを持続的に利用するためには、収集・運搬から製造・消費に至る各段階の産業の、普及に向けた努力が必要であることなどを説いた。また、同じく基調講演に立った上伊那森林組合の寺澤茂通参事は、長野県内10ヶ町村で2004年から開始された、年間1750tの木質ペレット生産の現状が報告された。
 パネルディスカッションには、パネラーとして前出の岡野氏、寺澤氏のほか、とかちペレット協同組合の中島正博理事長、十勝東部森林管理署の酒井彰署長、道水産林務部木材振興課の濱田修弘主幹が出席、九州大北海道演習林の古賀信也現林長をコーディネーターに討議が進められた。
 中島氏は、足寄町の取り組みについて、
「もともと木質ペレットを知っていたわけではない。最初の契機は4年前に町が取り組んだ地域新エネルギービジョンや木質バイオマスビジョンだった。まずペレットありきでスタートしたのではなく、根底には“どうすれば地域が良くなるか”“そのためには何から始めれば良いか”という考えがあった」
 と概括。広大な森林面積を持つ足寄町にとって、森林の維持管理と生産物活用のために、最も適した手段であると強調した。
 会場となった「あしょろ銀河ホール21」の屋外では、17日から同日にかけて、(株)サンポットなど国内外7社の木質ペレットストーブの燃焼実演展示会が行われた。
 木質ペレットを一般家屋で1シーズン使用した場合、約2tの木質ペレットが必要になると言われている。燃料製造に取り組んでいるのは、足寄町のほか、道内では滝上町のみ。燃料の価格も灯油の場合の約1.5~2倍になる。現段階ではストーブの価格自体も約数十万円と、割高感が否めない。「カーボンニュートラル」に魅力を感じたとしても、道民がこの価格を乗り越えて導入するには抵抗があるのは想像に難くない。
 そのため道では、森林管理と未利用森林資源活用の一石二鳥を目指し、木質ペレット導入に関する各種の助成策を検討しているという。
 もう一つ、道が地域から期待されている役割は、木質ペレットを産業として定着させるための企業とりまとめ、つまりコーディネーター役だ。道内の需要に見合うペレットストーブの開発は、道内企業の手で成功させて欲しい。
写真:上:パネルディスカッションの様子。写真:中:会場ではパネル展も。 写真:下:実物の燃焼展示
拝 映輔
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