北海道産業の競争力ユニットとなるか「グリーンビジネス道央ベルト」フォーラム/2005-02-23 |
2月23日、環境関連産業を軸に道央地域の製造業を繋ぎ、競争力ある産業に育成しようする「次世代型グリーンビジネス道央ベルトフォーラム」が、苫小牧市内のホテルニュー王子で開催された。 このフォーラムは、道経済産業局が進めている「スーパークラスター振興戦略」の一環として、グリーンビジネス振興を目指したもの。鉄鋼や紙パルプなど素材産業の集積度が高い道央圏は、従来の産業構造のまま経済浮揚を数十年にわたって試み続け、その難しさを痛感してきた。この地域に対して、新たに“環境保全”という視点を設け、素材産業の蓄積で蓄えた基盤力を活用して、先進的な環境保護産業の集積地にしようというわけだ。 基調講演は、東京大名誉教授の吉田邦夫新潟産業大教授が行い、 「北海道の長所を忘れて新産業の芽を伸ばすことはできない。土地の広さや産業集積の薄さなどを短所とする人もあるが、それはメリットの一つと考えるべき。環境関連分野では現在、廃棄物の再利用技術の研究拠点が存在しない。住み良い環境を守りつつ、新たな技術を生み出す研究拠点として再整備することも選択肢の一つだ」 と語った。同時に、産業間連携の重要性について説明し、考慮すべき点は、如何にエネルギーの質(エクセルギー)を維持しながら効率良く物質を変換するかであると語った。 企業事例では、道央地域各社の環境に関する産業間連携の先進事例として、王子製紙(株)(RPFボイラーの導入と運転実績)、新日本製鐵(株)(高炉廃棄物のセメント材としての再生)、新日本石油(株)(脱硫硫黄の改質によるコンクリートバインダ生産と、産業副産物を原料に生産された耐酸・耐食建材「レコサール」)、北海道電力(株)(火力発電所の石炭灰再利用・製品化の事例)などが紹介された。 パネルディスカッションは、産業界からトヨタ自動車北海道(株)の竹花奎一常勤監査役、(株)日本製鋼所の舟崎光則理事、日本製紙(株)勇払工場の種田英孝技術環境室長、日鐵セメント(株)の下林清一常務取締役技術本部長が出席、学界からは北大(院)工学研究科の井口学教授、室蘭工業大材料物性科の桃野正教授を迎え、北大(院)工学研究科の石井邦宣教授をコーディネーターに進められた。 パネルディスカッションでは、産業間連携の推進についての課題やポイントなどが語られた。廃棄物のリサイクルを考えた場合、輸送距離や物質そのものの質的・コスト的乖離など、さまざまなギャップが発生する。その中で各企業とも廃棄物を少しでも減らそうと努力している姿が語られた。中でもトヨタ自動車北海道(株)では、周辺企業と連携してゼロエミッション化への取り組みを進めており、着実な成果を生み出しつつあるという。 このような取り組みが進めば、「道央ベルト」がグリーンビジネスの拠点になるのも、そう遠い未来ではなかろう。
写真:上:パネルディスカッションの様子。写真:下:基調講演を行う吉田邦夫氏 拝 映輔
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