ゆうばり国際ファンタスティック映画祭・開幕/2005-02-24 |
2月24日、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2005」が、2月28日まで5日間の日程で開幕した。松方弘樹氏、奥田瑛二氏ら主だったゲストやツアー客らを乗せたJRの臨時列車は14時30分に夕張駅へ到着、夕張市民の歓迎を受けた。 開会式は、夕張市内のゆうばり文化スポーツセンターで開催され、まず、映画制作に関わる女性を対象とした「マックスファクター・ビューティースピリット賞」受賞者が発表された。今回の受賞者は、吉行和子氏(女優)、深田恭子氏(女優)、豊川京子氏(ヘアメイク)、大島ミチル氏(作曲家)、ワダエミ氏(衣装デザイナー)の5名。次いでヤング・ファンタスティック・グランプリ部門審査員(審査委員長イ・チャンホ氏(韓国・監督)、平山秀幸氏(監督)、行定勲氏(監督)、奥田瑛二氏(俳優・監督))、ファンタスティック・オフシアター・コンペティション部門審査員(審査委員長廣木隆一氏(監督)、寺島しのぶ氏(女優)、アレックス・ツァールテン氏(ドイツ・TVプログラムディレクター)、ミッシェル・ソン氏(韓国・元・プチョン国際ファンタスティック映画祭短編部門プログラマー))が紹介され、最後に映画祭実行委員長の後藤健二夕張市長による開会宣言を受け、正式に5日間の日程を開始した。 今回上映される映画は、招待作品や参加作品、各種イベントによる上映作品など総計78本。 映画祭のシステム自体には、公式カタログの無料頒布を廃し、1冊800円と有料化、全日程の特別な作品以外は鑑賞できる“通し券”も廃止されるなど、変更が加えられた部分が多い。過去15年間に訪れた映画関係者や映画ファンらに親しまれた『みんなの家』も、運営上過大な負担がかかるため、昨年開催より廃止された。これは、後藤市長が開会宣言で語ったように、「この映画祭をこれからも続けていく」ための布石であると考えて良いだろう。 フィルムコミッション的性格を生む母体として、映画によるグローカル・パブリック・アクセス的な側面を持つ「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」の性格を考えると、じつは“通し券”の廃止は映画ファンにとっての痛恨事である。 夕張は、ゲスト参加した映画関係者によって、ロケ地に選ばれる場合が多い。ロケの際には夕張市民がケータリングやエキストラ・キャスティングなど多方面から支援している。これは、市民が数多くの映画に親しみ、映画に対して障壁を持たないからこそ可能なことである。そしてそれは、映画祭の期間中、映画が「空気のように」密接な存在として在るからではないだろうか。 映画を知る最良の方法は、映画を数多く観ることであるという。この体験を担保する存在としての“通し券”が廃止された後、映画に親しむことが徐々に難しくなるのではないかと、若干の不安を感じないではない。 それでも、この映画祭は愛され続けるに違いない。所以は、映画人であっても映画ファンであっても隔てなく、ここに来たことを歓迎してくれる、夕張市民の“飾らない”親しみやすさが理由なのだろう。 ●ゆうばり国際ファンタスティック映画祭(実行委員会) http://www.yubarifanta.com/
写真:上:夕張駅前で大勢の市民や映画ファンらに出迎えを受ける松方弘樹氏 下:マックスファクター・ビューティー・スピリット賞受賞者 拝 映輔
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