発行:Funahasi.Com & 北海道経済産業新聞運営委員会
Last UP Date:2014-06-29
「CAMUIロケット」エンジンの公開燃焼実験・HASTIC/2005-02-26
 2月25日、植松電機(株)(赤平市本社、植松清代表取締役社長)の本社工場にて、NPO北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC・札幌市北区事務局、秋葉鐐二郎理事長)が開発中のハイブリッドロケットシステム、「CAMUI式ロケットエンジン」70kgf級地上試験モデルの公開燃焼実験が行われた。
 CAMUIロケットの特徴は酸化剤に液体(LOx)、推進剤にポリエチレンなどの樹脂を使うハイブリッドエンジン(CAMUI式ロケットエンジン)を採用していること。これによって火薬を使用しないフライトが可能になり、膨大な管理コストをかけずにロケットを使用できることになる。同時に、HASTICではロケット自体を射点で回収・再利用することによって大幅に打ち上げコストを効率化、実用化段階では従来ロケットによる実験コスト、約600万円(回収費用含まず)の数分の1となる約100万円程度(回収費用込み)を目指している。
 今回実験したモデルは、現在実用化を目指して開発している高層気象観測用ハイブリッドロケット(胴径240mm・全長3700mm、目標到達高度65km、モータ推力500kgf)の2分の1スケールで設計された地上実験用エンジン。2004年度中に機体の基本設計、フルスケールによる地上実験モデルの開発まで進め、2005年には地上燃焼試験、サブスケール(推力150kgf級)の打ち上げ実証試験、2006年には打ち上げ実証実験までを行う予定だ。最終的には高度を110kmとし、約3分間の無重力(自由落下)状態による実験環境を提供するのが目標という。
 また、今年3月12日には、2002年以来3度の打ち上げ試験に成功している推力50kgf級のフライトモデル「CAMUI-50P」を使用したミッション打ち上げ実験を行う予定である。ちなみに、今回打ち上げられる機体は新造であり、100%道内産という。
 植松電機(株)は、HASTICから正式に「宇宙工学研究所赤平実験場」の呼称を得ている。敷地内には3秒級の無重力実験用落下塔が建設中であり、今後は海外からもさまざまなミッションの依頼が予想される。
 技術を成熟させるためには、常に研究開発を継続しなければならない。短期的成果と新規性への拘りに支配される国内の公的研究プロジェクトでは、継続的な研究活動は自ずと制限される。ましてや、日本の航空産業は敗戦によって芽を摘まれ、60年を過ぎた今も、産業として復活したとは言えない状態だ。
 大学と行政だけではなく、中小企業集団が連携し、NPOを中心として行われている、道内における宇宙への試み。これが軋轢や偏見を排除して継続される限り、その技術は経済の裾野に浸透し、厚みを増し続けるはずだ。
●NPO北海道宇宙科学技術創成センター
 〒060-0819
 札幌市北区北19西11 JST研究成果活用プラザ北海道内
 Tel.011-708-1617
 Fax.011-708-1185
 http://www.hastic.jp/
写真:上:公開実験に集まった約30人の報道関係者ら 写真:下左:ロケットエンジンの燃焼の様子 下右:開発中の目標高度65kmのロケットのモックアップ模型
拝 映輔
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