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Last UP Date:2014-06-29
CAMUI式ハイブリッドロケット発射試験成功・打ち上げサービス開始に道
/2005-03-13
3月12日、NPO北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)が中心になって開発を進めているハイブリッドロケット「CAMUI」の発射試験が、大樹町の多目的航空公園付近の実験領域で行われ、成功裡に終了した。
試験は北大が中心となって開発しているCAMUI式ロケットに、道工大が開発した空き缶(500ml)サイズの超小型人工衛星「CAN-SAT」(カンサット)を登載して行われ、発射からパラシュート開傘、着地回収まで、サービス打ち上げ時に行われる一連の作業全てをチェックした。
発射後、1000m弱まで約3秒で到達したロケットは、ロケット本体と登載したCAN-SATの分離に成功し、両方のパラシュート回収にも成功。全ての工程を無事に行い、HASTICでは、今後の打ち上げサービス提供に自信を深めていた。
CAMUIロケットとは、北大工学部の永田晴紀助教授の着想によって独自に開発したハイブリッドモーター、「CAMUI式ロケットエンジン」を登載した小型ロケットであり、火薬を使わないため安全性が高いのが特徴となっている。今回の機体からは100%道産化を達成しており、サービス打ち上げの受注は、域内への経済波及効果も高い。
HASTICの伊藤献一専務理事は、
「今回で試験打ち上げを終え、次回からミッションを受託して打ち上げる事業を開始したい。次回以降はロケットのサイズもほぼ2倍となるが、モーターの地上試験も3月下旬には始まるなど、開発は順調。当面は大学等の研究用途としてのミッションが主要なものとなるだろう」
と説明し、続けて、
「打ち上げ費用については初回は機体制作費を含めて約200万円、その後は機体を100%回収・再使用して5、6回は耐用できるため、100万円以下となるだろう。従来のロケット打ち上げ費用と比較すれば、ほぼ価格は10分の1以下になる」
と、今後の計画を語った。
今回の試験に際しては、カメラ1台、衛星1基を登載する予定だったが、前日にカメラをもう1台追加することが急遽決定したという裏事情があるが、
「当面のニーズが実験用であれば、突然の仕様変更も多いはず。従来のロケットでのペイロード重量の変更は、ほぼ完璧に無理だったが、CAMUIロケットでは、高度は多少低くなったが打ち上げに支障が出なかった。これも含めてやり遂げたことになる」
と伊藤氏は言う。
現在、新型の機体は植松電機(株)やセテック(株)などの道内企業が中心となって開発を進めている。今月末からは、エンジンの地上燃焼試験が始まり、1年後には初フライトが行われるはずだ。
●NPO法人北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)
札幌市北区北19西11 JST研究成果活用プラザ北海道内
Tel.011-708-1617
Fax.011-708-1185
http://www.hastic.jp/
写真:上:CAMUIロケット発射の瞬間 写真:中:液体窒素で冷却し、発射準備をするCAMUIロケット 写真:下:パラシュートにより着地・回収されるCAMUIロケット
拝 映輔
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