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Last UP Date:2014-06-29
小学生に絵本で「特許」読み聞かせ・赤間小学校(赤平市)にて・Smips(東京)/2005-12-13
「特許」といえば、知的財産立国を目指す日本政府にとって、そのバックボーンとなる基本的な知的財産のひとつ。この「特許」がどのように成り立っていて、どのように使えばよいのかを子供の頃から知識として持ってもらおうと企画されたのが、「絵本読み聞かせ」である。 東京大学先端科学技術研究センターに事務局を置いている自主研究グループ「Smips」(知的財産マネジメント研究会・スミップス)は、理工系の大学院生・ポスドクなどを対象に、知的財産権とそのマネジメントについて情報交換・討論を行うなど、2001年4月から活動しており、現在も技術移転機関でライセンス・アソシエイトとして活動する人材やその他知財関連業務に就く人びとの情報交流機関として認知されている。「絵本読み聞かせ」を行っているのは、Smipsの分科会の一つ、KMS(知識流動システム分科会)のメンバーだ。
 12月12日には、赤平市立赤間小学校(赤平市豊里)で、Smips-KMSによる「絵本読み聞かせ」が開催された。教室は2年生クラスの1学級で、最初はKMSが作成した絵本『はつめいでだいごろうをすくえ!~かずくんだいふんとうのまき~』を紙芝居にしたものを使って読み聞かせを行い、その後は小学生自身に「ゆめのふでばこ」を考えるワークショップを開催、発明の実際を学んでもらった。
 Smipsの総合オーガナイザーでKMSオーガナイザーを務める東大先端研助手の西村由希子氏は、
「私たちは大学で高度な研究を行っていますが、それが果たして社会に正しく伝わっているでしょうか。あるいは正しく伝える努力を大学の人びとはしているでしょうか。知識を実際に流動化させるためには、早期からの発明・知財教育やその教育コンテンツの充実、関連する人材の充実が不可欠です。ひとつの試みとして、全国の小学校でこの『読み聞かせ』を行っておりますが、成果は着実に出ていると思います。ワークショップでは発明を模擬体験してもらっていますが、小学生の関心が社会事象と密接に関わっていてなかなか興味深いものがあります」
 同日夕方には、赤間小学校の「読み聞かせ」に協力した(株)植松電機で、同様の「読み聞かせ」プログラムを同社社員に対して“実演”し、大人向けに行った貴重なデータも取得。当の(株)植松電機の社員たちも、「自由な発想で取り組もうと思うとなかなか難しい」と、発明の難しさを感じていた様子だった。
 西村氏はまた、
「知的財産に関する感覚や知識は、子供のうちに身につけておいて欲しいもの。権利かするか否かに関わらず、身を守るための“武器”になるものだという認識をしておいてもらいたいと考えているんです」
 とも語る。
 ちなみに、今回の「読み聞かせ」で使用された絵本(かずくんはつめい・はっけんシリーズ)vol.1『はつめいでだいごろうをすくえ!~かずくんだいふんとうのまき~』、およびvol.2『かずくんvsわるおしゃちょう~とっきょビームをつかっちゃえ!のまき~』は、全国の紀伊国屋書店、同研究会のサイト内で販売されている。1冊各1500円。
 また、「絵本読み聞かせ」に興味がある小学校にも連絡を呼びかけている。タイミングが合えば、無料で読み聞かせを実施してもらえるかも知れない。詳しくは下記サイトへ。
●知的財産マネジメント研究会「Smips」
 http://www.smips.jp/
●知的財産マネジメント研究会「Smips」知識流動システム分科会「KMS」
 http://www.smips.jp/kms
●絵本販売サイト
 http://www.smips.jp/kms/?itemid-12
写真:ワークショップの風景 中央は西村氏
拝 映輔
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