第1回「遺伝子組換え作物の栽培試験に係る実施条件検討会」/2004-06-01 |
低農業や有機栽培など、道内農業はクリーン路線で大きなアドバンテージを得てきた。その一方、本道はバイオベンチャー企業の集積数も全国で3本の指に入る。 そんな中、今年2月副知事に就任した麻田信二前道農政部長が打ち出した“遺伝子組み替え作物の栽培に関するガイドライン”では、実質的に遺伝子組み替え作物の商業栽培を禁止しており、バイオベンチャーに携わる多数の研究開発担当者に大きな衝撃を与え、学界からも反論の声が寄せられた。 6月1日、かでる2・7で開催された「遺伝子組み替え作物の栽培試験に係る実施条件検討会」は、前出のガイドラインで“別途検討”とされた、試験研究機関による研究圃場での遺伝子組み替え作物の栽培のあり方を考えるもの。今年度内に成立を予定している“「食」に関する条例案”に盛り込まれる内容ともあって、傍聴人も多数詰め掛け、関心の高さを窺わせた。 検討委員会の座長には北大農学部の松井博和教授が就任。その他農業関係者や消費者団体、経済界や学会などから10人の委員が出席し、遺伝子組み替え作物の栽培実験のあり方に激論を飛ばした。 事務局を務める道農政部道産食品安全室が提出した案は、「一般作物との交雑や混入などの不安から道産食品の安全・安心を守るため、道内での開放系による遺伝子組み替え作物の栽培が行われることは禁じたい。ただし、バイオテクノロジーの研究開発の観点から、試験研究機関が研究圃場で行う開放系での試験栽培は、道民の理解が得られる範囲で例外的に実施できるようにしたい」(東修二室長)というもの。 これを受け、松井座長は、 「難しい問題だが、この討議を機会に、世界に胸を張れるような遺伝子組み替え技術の研究開発に範を示すプロトコルを作りたい」 と応えた。 原案では、試験研究機関として認めるものを道内立地組織に限定しており、研究管理の詳細も不明など問題点は多いが、それはこれから討議すること。 急速に進歩するバイオ産業では、気を抜くと米・加などのシードビジネス“先進国”に全てを握られかねない。一方、一般道民や消費者が求める“食の安全”の確保も譲ることができない一線。対立する概念なのは間違いないが、一般圃場との安全距離の算定や、交雑発生時の対応策など、慎重に検討すれば両立させる途もあるはず。 今後は7月下旬に実施条件案など詳細を検討する第2回検討会、条例文案を検討する第3回検討会を経て、9月以降に予定されている“「食」に関する条例案”に反映される。 北海道が、バイオビジネス先進国であると同時に、安全な食品の供給基地であり続けることを祈りたい。
写真:公開で行われた討議の様子 拝 映輔
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