発行:Funahasi.Com & 北海道経済産業新聞運営委員会
Last UP Date:2014-06-29
2007・1/10、産総研北海道センター(札幌)で完全密閉型「植物工場」竣工/2007-01-11
 2007年1月10日、独立行政法人産業技術総合研究所(AIST・産総研)北海道センター(札幌市豊平区)では、敷地内に建設を進めてきた「医薬製剤原料生産のための完全密閉型組換え植物工場」がほぼ完成し、関係者に内部を公開した。
 施設は床面積約291平方mで、水耕栽培によってイチゴやイネ、ジャガイモなど遺伝子組換え植物を栽培する育成室は合計4室。常に陰圧に保たれる完全密閉環境下におかれており、温度や二酸化炭素濃度なども自動制御できる。生産物は全て凍結乾燥されるかオートクレーブによって熱処理されるまで外部に持ち出されることはないという。また、併設された医薬品原料を精製・抽出するための施設ではクラス100相当の高清浄度を確保、GMP(Good Manufacturing Practice・医薬品に関する製造品質管理規則)に対応できる態勢を整えている。総工費は約6億円。
 道センターの松村健ゲノムファクトリー研究部門植物分子工学研究グループリーダーは、
「遺伝子組換え技術と医薬品製造技術、組換え植物の封じ込め技術の3つが連携し、原料植物の栽培から有用物質の抽出・精製まで一貫して行うことができる世界初の施設ができあがった」
 としており、今後同施設は北海三共(株)(北広島市本社、津田憲一郎取締役社長、資本金3億3,127万円)や(社)北里研究所(東京都港区本部、大村智所長理事)などの民間企業や他大学と行う共同研究、また、経済産業省が今年度から予定している国家プロジェクト、遺伝子組換え植物による医薬品原料開発に関わる産学官連携共同研究プロジェクトにも中核施設として活用される。
 同日、同センターで行われた竣工式では、北海道経済産業局の深野弘行局長が、
「今年の局の目玉施策は、北海道大学に建設が予定されているビジネス・インキュベーション施設と、この植物工場です」と挨拶するなど、周辺から期待と注目が集まっている。植物利用は農業だけではなく、今回の医薬品原料開発など工業分野としても大きな可能性を秘めている。
 農業大国と呼ばれ、経済低迷にあえいでいる北海道にとって、この施設が大きな強みになるのは間違いない。だが、取り扱う品目が遺伝子組換え植物であるだけに、細心の注意を払って慎重な運用を心がけて欲しいものだ。
●(独)産業技術総合研究所(AIST)北海道センター
〒062-8517
 札幌市豊平区月寒東2-17-2-1
 Tel.011-857-8406
 Fax.011-857-8901
 http://unit.aist.go.jp/hokkaido/
写真:上:植物工場の栽培用スペースの様子 写真:中:栽培されるイチゴと凍結乾燥して「不活化」されるイチゴのデモンストレーション 写真:下:竣工式で挨拶に立つ深野弘行道経済産業局長()
拝 映輔
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