2008.07.10(株)木の繊維、木質繊維断熱ボード工場苫小牧に着工/2008-07-11 |
2008年7月10日、(株)木の繊維(札幌市中央区本社、大友詔雄代表取締役社長、資本金1億5600万円)は、木質繊維から断熱ボード等を製造する第一号工場を、苫小牧市植苗170-5に着工した。 同社は、環境先進国として知られているドイツのホーマテルム(HOMATHERM)社によって開発された、木質繊維の抽出技術とそれを用いた断熱ボードの加工製造技術の国内導入を目的とし、同時に木質繊維を原料としたさまざまな新製品の開発や製造、販売を行うため、2007年7月19日に設立された。 代表取締役社長を務める大友詔雄氏は、北海道大学工学部に助手として在籍中に設立した大学発ベンチャー、(株)NERCの業務を通じてHOMATHERM社のMosler社長と知り合い、今回の断熱ボード製造に関する技術を(株)NERCを通じてライセンシングするところまで漕ぎ着けた。その後3年にわたる事業化準備の末、(株)中山組や丹治林業(株)などの参加を得て今回の起工式を行うに至った。 着工される施設は、鉄骨平屋造で5882㎡の面積を持つ工場棟と、木造平屋造で225.2㎡の管理事務所、また周辺には集材した林地残材や原料木の樹皮を堆積する燃料ヤードや、原料チップを堆積する原料ヤードなど、合計6938.1㎡の敷地を持つ。年内には工場建屋が完成し、翌春には全ての機械装置を据付完了し、試験生産に入る予定だ。予算規模は約30億円。 生産される製品は、HOMATHRM社が開発し、(株)木の繊維がこれまで輸入販売してきた木質断熱材の現地生産品。道産材の間伐材や林地残材を活用し、フレキシブル断熱ボード「ウッドファイバーLD」と、加圧等によっても変形しない硬質木質断熱ボード「ウッドファイバーHD」、吹き込み施工用の木質断熱繊維「ウッドファイバーBL」の3種類が予定されており、生産量は、当面年間約1万2000tとしている。 起工式の後、敷地内には、会場に駆けつけた高橋はるみ道知事やハンス・ヨアヒム・デア(Hans-Joachim DAERR)駐日ドイツ大使その他関係者らにより、断熱材の原料木でもあるトドマツが植樹され、「10周年、20周年のときにも逞しく育ったこの木の下に集まってこの日を振り返りたい」との挨拶に拍手が沸いた。 高橋はるみ道知事は、挨拶の席で、 「洞爺湖でG8環境サミットが開かれた翌日に、ドイツと日本の技術の融合によって事業が始まることをうれしく思います。ものづくり産業に力を注いでいる北海道にとって、先進的で大規模な工場を建設し、ビジネスに向かうこの会社の真摯な態度には敬意を表したい。道も関係自治体と一緒にできる限りのサポートをしていきたい」 と語り、また同日、ホテルニドムで行われた祝賀パーティの席上で、DAERR大使は、 「この会社はドイツと日本にとっても、また、人類と環境にとってもwin-winの関係を結ぶ素晴らしい存在になる。メルケル(Angela Dorothea Merkel)首相自ら臨席したいとの意向だったが、予定が噛み合わずに断念せざるを得なかった。その代理としてこのような式典に臨むことができたのは、私にとって望外の喜びだ」 と感想を述べた。 木質断熱材の断熱性能は、既存の鉱物系断熱材と同等もしくは高く、防音や調湿といった木質特有の性能もある。また廃棄時には繊維の再使用が可能であり、それが不可能になった場合に初めて他の目的に転用されるという。この工場では製造時のエネルギー源には原料のバーク(樹皮)が使用されており、環境負荷軽減については現在考えられ得る限り配慮されている。同社は、事業が順調に進展すれば、国内に10ヶ所程度生産拠点を設置していく予定という。 ●(株)木の繊維 〒060-0001 札幌市中央区北1西4 札幌ノースプラザ Tel.011-398-5210 Fax.011-219-8856 http://www.kinoseni.com/
写真:上:鍬を入れる(株)木の繊維の大友詔雄代表取締役社長 写真:下:植樹する賓客 左よりHans-Joachim DAERRドイツ大使、高橋はるみ道知事、(株)木の繊維の丹治敏男代表取締役副会長 拝 映輔
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