NC切削+三次元印刷で精細な3D地図を実現・ウェザーコック/2004-06-08 |
展示物など立体模型製作をてがけるウェザーコック(本社札幌市豊平区、山本真裕社長、資本金1000万円)は、立体面に4色で高精細印刷を施す技術“3Dリアルプリント”を開発した。 地図の数値データを用い、同社が保有している数値制御(NC)の“自動切削成型技術”(CALM)と組み合わせると、山や河川、沼沢といった地形データは当然のこと、道路や施設情報などの地図記号が立体上に正確に表すことが出来る。 製作期間はわずか数時間。いわば“精密立体地図”の高速自動製作が可能になったわけだ。 従来の立体地図は、等高線ごとにプラスチック板などを切り出して貼り付ける“コンター”が主体だった。さらに地図情報を載せるには、“手描き”かコンターに合わせて地図シートを貼り付ける“真空成型”しかなく、立体形状と地図情報がずれたり、情報量が少ないなどの難点があった。 同社は北大や北工試、産総研の研究者らと共同研究を繰り返し、開発に2年をかけた。まず立体模型にモノクロ諧調印刷する技術を開発、設計図面の立体化に取り組み、商品化を果たした。その後も研究開発を続け、今回カラー高精細印刷技術を開発した。 現在の用途としては、立体の位置関係の正確さから、ハザードマップや防災対策検討用図面の立体化など“防災情報リテラシー”つまり防災教育用が主なもの。 だが、今後は土木・建築分野、バイオ等科学研究分野、各種教育用などへの応用も考えている。 過去から培った造形デザインと組み合わせ、文化財を非接触方式で測定・数値化し、レプリカ(複製)を作成してしまうという“離れ業”も、すでに実証してみせた。(ex:江差町・神功山人形:1963年道有形民俗文化財指定) 「研究者の方々と打ち合わせをしていると、ある課題を解決することで新たな可能性が開けていくのに気づきます。3Dリアルプリント技術の可能性は、これからもどんどん発展する感触を掴んでいます」 と、山本一枝専務は期待をかける。 続けてこうも言う。 「2000年の有珠山噴火当時、TV放送で使われた山体模型は私どもの製作です。その頃から、地図が立体化すれば、津波や破砕硫などがどう伝わるか直感的にわかるはずという確信を持ってきました。この技術が防災に生かされれば、災害で犠牲になる人も減るんじゃないか。それが1番大きな期待です」 同社のこの技術は、世界的にも注目を浴びている。同社は宇宙科学の世界的権威でもあるウィン・フェン・イプ教授からの招請を受け、7月5~9日にかけてシンガポールで開催される“アジア太平洋地球物理学会”(APGS=Asia Pacific Geoscience Society)に出席、発表を行う予定だ。 ●(株)ウェザーコック 札幌市豊平区月寒西3-7-1-31 Tel.011-852-1623 Fax.011-855-8366 http://www.weathercock.co.jp/
写真:立体地図を前に説明する山本一枝氏 拝 映輔
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