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Last UP Date:2014-06-29
PDFを演算可能に・真の電子文書化を提案・スマイルフェイス/2004-06-17
 PDFファイルと言えば、ネット上でダウンロードできる手軽な“汎用電子文書”としてすでに馴染み深い存在だ。Adobe社が開発したPostScript言語であり、画面と印刷時の体裁が同一であることが特徴とされている。また、WindowsやMacなどといったプラットフォームに依存せず、ビューワーさえ無料で入手すれば、どんな環境でも見ることができる。だが、これまでは“文書”として特性が主に利用され、演算や動画の表示といった電子メディア特有の特徴を利用する動きは少なかった。
 スマイルフェイス(札幌市本社、平岡良朗代表取締役社長、資本金360万円)は、PDFの機能を活用し、PDF中に入力された数値などを演算処理したり、あるいは企業紹介などに活用できる動画の処理技術などを開発している。
 本来、PDFフォーマットには内部データを処理するための機能が設定されている。それを簡素化するためにJAVA Scriptでプラグインを構築し、一般ユーザーが気軽に入力フォームを作成できるようにした。7月より発売される同社の第1号市販ソフト“Easy Form forPDF”(仮)である。
 同社の平岡良朗社長は言う。
「アンケート調査など定型・定期的な調査であれば、これを使えばPDFで自動処理できます。もちろんOSには全く左右されません。D/Bと組み合わせればかなり高度な処理が出来ますし、当然企業の受発注伝票などにもすぐ応用できます」
 平岡氏とPDFとの付き合いは、そろそろ10年になる。
 95~96年当時、印刷所に勤めていた平岡氏に「WINDOWSで組版できないか」という問い合わせが寄せられた。96年と言えば、ちょうどadobe社がWINDOWS用のアプリケーションを発売し始めた頃である。カラー印刷はMAC、ページものの印刷は専用機が主流の頃でもあった。手元にあるのは印刷工場の工程管理用に使われていたPC1台。約1年間、独自で開発を続けるうち、平岡氏はPDFの魅力にどんどん引き寄せられていった。
「まず、PDFはPCの種類を問わない。もともとが文書印刷用の言語(Post Script)なので、印刷時にも体裁が崩れない。また、Form機能を使えば印刷だけではなく、計算などさまざまなことに使える。何よりネットワークに接続していなくても利用できる。実に面白い仕様です」(平岡氏)
 PDFの多機能利用に可能性を見出したのは、98年に行われた第3回PDFカンファレンスのときだ。Form機能を使ってのデモンストレーションを見て、衝撃を受けた。
 再び平岡氏は言う。
「JAVA Scriptを使ったFormの活用で、PDFが只の文書ファイルではなくなることがわかりました。それから先は、当時Adobe社にもない資料を求めて、調べ物三昧の日々でした」
 2000年に仲間たちと(有)スマイルフェイスを設立。現在はForm機能の簡易エディタ"Easy Form for PDF"の開発を終了し、7月末にはダウンロード販売を始める予定だ。価格は1本\6000円を切る程度。JAVA Scriptの応用については、PDF版のインタラクティブな鉄道・地下鉄路線時刻表『トレインマップ』、絵本『あなたはだあれ?』を出版するまでになった。トレインマップはAdobe社のセミナーでも使用されている。
「将来的にはソフト開発だけでなく、各企業の文書の様式に合わせたカスタマイズや、それを基礎に文書配信システムの構築も手がけたい」(平岡氏)
 Easy Form for PDFは販売代理店も募集中だ。
●(有)スマイルフェイス
 札幌市白石区東札幌5-1-1-1 札幌市産業振興センター B3号
 Tel.011-837-8088
 Fax.011-837-8588
 http://www.smileface.co.jp/
拝 映輔
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