森林資源の持続的利用を目指す・FSC森林認証/2004-06-22 |
FSC森林認証というシステムがある。FSC(Forest Stewardship Council)とは森林管理協議会の略。ヨーロッパでは森林資源の不法伐採による製品に対して不買などの運動が高まりつつあり、それらのニーズに対応するために設立された経緯を持つ。組織は独立したNPO法人で、経済性と環境性の双方に配慮し、林業者や市民団体、消費者グループ、先住民グループなどが関係者として関わり、認証機関に対して審査を行う。現在すでに日本を含め、55ヶ国の森林について認証を行っている。 環境に配慮した林業の計画を立て、50年、100年先にも引き継いでいける体制づくりを確立した林産業者、また、他の木材と混ざらない製材システムが構築され、環境に配慮した森林から産出された木材のみを出荷できる製材業者などに認証を与え、認証された業者はFSCラベルを製品に貼付することができる。 ただし、いくら林産業者がFSC認証を取得していても、その下流の製材業者が認証取得していなければ、ラベル貼付が許されない。“世界一厳しい”認証基準と言われており、多くの生物が森林内に生息していること、森林の管理を計画的に行っていること、原生林を保護していることなど10種類の原則と56種類の基準を設けてチェックされている。 国内でもカタログハウスなどでは、取扱品目全てをFSC認証取得品に切り替えるなど、その運動は着実に浸透しつつある。 下川町森林組合は、2003年8月に道内で初めてFSC森林認証を取得した。 同組合では、5万9000haの国有林と4500haの町有林を保有する町内の森林資源について、水源の周囲は自然林とする、大面積の伐採や同一樹種での植え替えを避けるなど、森林経営に最新の注意を払っている。だが、 「町行政との連携がまだ確立していないのが悩み。他県では、FSC認証に対して県単位で取り組んでいるのだが、道の認識もまだ育っていないようだ。北海道の最大の資源である森林資源に対してスポットライトを当てる良い機会なのだが」 と、同組合関係者は悩みを打ち明ける。 世代を超えて確実に継承され、経営できる森林資源を確保するというこの試み、いまの弱体化した国内林業を救う救世主となるかも知れない。 ●WWFジャパン・FSC森林認証事業部 http://www.wwf.or.jp/forest/ ●下川町森林組合 上川郡下川町南町133 Tel.01655-4-2159 Fax.01655-4-2720 http://www.shimokawa.ne.jp/shinrin/
写真:FSC認証マーク(WWFサイトより) 拝 映輔
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