発行:Funahasi.Com & 北海道経済産業新聞運営委員会
Last UP Date:2014-06-29
Interview・佐々木邦俊氏・”アグリキングダム・江別”参議/2004-07-12
目指せ"独立経済圏”
”新地域経済モデル”の創出
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 いま、アグリキングダム・江別という名の団体が、江別経済の活性化を目指して奮闘している。ご当地ラーメン『江別小麦めん』を開発し、今後の目標は幅広い食品分野での“江別ブランド”の構築と、それを引っさげての全国展開。キーパーソンは、エア・ドゥ設立に関わり、ビー・ユー・ジーの製品開発に携わってきた佐々木邦俊氏だ。
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 ――アグリキングダム江別の概要を。
 佐々木 江別の産学官でつくる“江別麦の会”と江別経済ネットワークの「ラーメン部会」参加メンバーが主体となっています。市内企業の第一線のスタッフと実動部隊で計約15人。全員が手弁当です。これは、江別経済ネットワークに参加する、小麦の生産者、製粉会社、製麺会社のスタッフからの発案で、"幻の小麦”と呼ばれている江別産小麦”ハルユタカ”を使用した「江別ラーメン」を開発し、江別の新しいブランド製品にできないかと考え始めたのが発端です。当初は”ご当地ラーメン”が出きれば企画成功と考えていました。
 ――江別小麦めんのことですね。
 佐々木 ところが、開発作業を進めていくうちに、地元産小麦の素材のよさが発揮された”麺”に仕上がっていき、ラーメンの範疇を大きく超えた利用の可能性が期待できる製品になっていきました。
 パスタのような応用の効く素材になっていったんです。むしろつけ麺や冷麺の方が持ち味が出る。それでネーミングとしての「ラーメン」は避け、『江別小麦めん』とすることにしました。

 ――アグリキングダム・江別はどんなことを目指していますか。
 佐々木 商品開発による“江別ブランド”の構築から流通企画、市場開拓までを視野に入れて活動しています。もちろん麺だけにはこだわりません。乳製品や肉類、豆類など、農産品を幅広くカバーしたプロジェクトにしていくつもりです。
 今年の春に“江別小麦めん”を作り、夏には、”江別小麦めん”や江別産小麦”ハルユタカ小麦粉”など江別ブランド製品を地方配送できる”江別包(えべつつみ)”と題した、ギフトの試験販売をします。秋には本格的な物販体制構築の実験をはじめ、来年はフーデックス・ジャパン(FOODEX JAPAN)に出展しようと計画しています。
 ――フーデックスジャパンに。
 佐々木 フーデックス・ジャパンは大規模な食品展示会ですが、これを見ていて気付いたことがあります。例えばイタリアやオランダといったヨーロッパ諸国のブースには、統一された強烈なカラーがあります。一方、日本のブースはというと、個々はきらびやかなのにまとまるとグレーの印象。つまり無彩色の状態に落ち込んでしまっている。これではいけない、出展するときには、「アグリキングダム・江別」をヨーロッパ諸国のブースにまけない、イメージやカラーを統一した、独自の地域を強烈に打ち出せるものにしようと、皆で言いあっています。
 ――食品関連産業が江別にそれほど多いとは意外です。
 佐々木 江別の農業は、もともと米が主体だったのですが、いまは麦が過半数を占めています。ほかにも乳牛や肉牛などの酪農、野菜生産など、バラエティに富んでいる。また、札幌という大マーケットに近く流通のテストもしやすい。
 江別の人口は約12万人あります。じつはこのクラスの都市というのは、経済の再構築が最もしやすいサイズの“手頃なマチ”なんだと思っています。製麺、製パンなど各業種がバランス良く存在し、しかも大都市のように多数あるわけではないし、小都市のようにどこかの業種に欠けている部分があるわけでもない。つまり、調整の手間がほとんどかからないということです。
 ――産業クラスターが形成しやすいわけですね。
 佐々木 ブランド構築とは、単に特産品を作るというだけではないんですね。地域の産業基盤を磐石にし、地域の産品に対して地域の消費者が明確な意識を持つようにしなければならない。もちろん、そこまで行けば、地域で自立した独自の経済圏も出来るでしょうし、新たな経済モデルの構築にもつながる。
 マチ起こしとよく言いますが、このレベルでいけば、もうクニ作りだろうと(笑)。そういう気概を込めて僕たちは“キングダム”を名乗っているんです。
 ――地域ブランドと言えば、江別ブランド事典という事業がありました。
佐々木 江別には全国に存在を知らせたい”いいもの”がたくさんあります。
 昨年、江別経済ネットワークのもう一つのプロジェクトで実現したのが「江別ブランド事典」です。これは、札幌学院大学やNPO法人江別IT技術者協会(EITEA)の協力で人工知能の技術も取り入れ独自開発し、今年(2004年)4月から公開しているWebサイトです。
 アグリキングダム・江別は「江別ブランド事典」を情報発信基盤として活用したいと考えています。そのため、ブランド製品の作り手側からの情報発信手段も検討しています。作り手側とそれを評価する市民。生産から消費まで、自らの力で、江別ブランドを育てていきたいというのが目的です。
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 今日7月10日から、2日間にわたって開催される“江別やきもの市”に、アグリキングダムはブースを出展した。江別小麦めんをはじめ、パンや菓子など用意した“江別ブランド”製品は完売。“王国”の今後に手応えを感じている。
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ささき くにとし1949年、北海道生まれ。函館ラサール高校、青山学院大学卒業。ANAグループで18年間、ホテル開発、食材&商品開発を担当。その後B.U.G.(システムハウス、札幌市テクノパーク)で、新規事業開発、製品開発の各プロジェクト推進担当。現在、NPO法人江別IT技術者協会(EITEA)事務局長および江別経済ネットワーク有志による江別ブランド開発プロジェクトアグリキングダム・江別・参議。
写真:佐々木邦俊氏
拝 映輔
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