決算に見る道内信金・信組の現状(上)/2004-07-13 |
道内26信金と国内系7信組の決算が出揃った。リレーションシップ・バンキングへの対応や2005年4月のペイオフ全面解禁を控え、各信金・信組とも厳しい地域経済の内情を示す結果となった。詳しくみてみよう。
預貸率下げ止まる“信金” 信金の決算数値を見てみよう。まずは預貸の部から。 預金高は26信金中23信金で伸び、総計5兆6314億89百万円、前期比1.7%増となった。地域での信金に対する信頼感は、この点で揺らいでいない。また、貸出量は26信金中12信金で落とし、総計2兆9628億56百万円となった。前期比では0.4%の微増、全体の預貸率は53.0%と、信金全体としてはここ数年の減少傾向を脱し、やっと底を打ったとの感がある。これは不況による地域企業の資金需要の低迷が響く中、リレーションシップ・バンキングによる地域金融支援に力を注いだ結果だ。 次に収益の部を見てみよう。業務純益は16信金で減収、経常利益では12信金で増益、渡島、函館、北見、紋別の4信金が黒字に転換した。一方、10信金が減益、遠軽信金では赤字となった。遠軽信金は、昨年8月に民事再生法適用を申請した倉本産業に対する貸出金を不良債権処理し、赤字となったもの。反対勘定を立てるには利率の有利な有価証券を処分せねばならず、将来を見越しての苦渋の決断となったもようだ。 不良債権総額は紋別信金を除く25信金で処理が進み、全体では1799億96百万円と、前期比17.1%の減。紋別信金は地域経済の疲弊が響き、支援への圧力が高まったため、敢えて不良債権額を積んだもようだ。 全体的に見ると、地域経済の疲弊による資金需要の減退に対して証券運用で収益を確保、金融再生支援などで体力を使いつつ、経費削減努力で黒字を確保しているという、道内信金の姿が浮かび上がる。 課題は何と言っても地域経済の再生。国債中心の証券運用には、最近の長期金利上昇によって含み損が出るリスクがあり、抜本的な課題解決には、いままで以上に地域に体力を注ぐしかない。
2004年3月期道内信金決算数値(PDFファイル) ※預金量、貸出量、業務純益、経常利益、当期利益、不良債権開示総額はそれぞれ百万円単位。前期比、預貸率、自己資本比率はそれぞれ%単位。ただし、預貸率、自己資本比率の前期比は前期との引数(ポイント)。
拝 映輔
|
|
ニュース一覧
インタビュー一覧
コラム一覧
連載小説一覧
TOPに戻る
|