発行:Funahasi.Com & 北海道経済産業新聞運営委員会
Last UP Date:2014-06-29
シンポジウム・北海道におけるバイオマスの利用とLCAによる評価/2004-07-16
 7月15日、札幌市内のホテル、ポールスター札幌にて、シンポジウム「北海道におけるバイオマスの利用とLCAによる評価」が開催された。
 主催は「バイオマスとLCA」シンポジウム実行委員会と酪農学園大学で行われ、約300人が入場した。
 LCA(Life Cycle Assesment)とは、製品やサービスを対象に、関係する全ての活動についてCO2排出量や廃棄物最終処分量など、環境への影響を調査する手法。例えばリサイクル部品を使えば、その製造のための分のCO2排出量などが抑制される代わり、リサイクル作業に要する環境への影響度が加味される。環境問題を長期的・総合的に捉えるときに有効な考え方となっている。
 講師は、(独)産業総合研究所LCA研究センターの匂坂正幸副所長、経済産業省産業技術環境局環境調和産業推進室の安達昌孝課長補佐、名古屋大学環境学研究科の井村秀文教授(都市環境学専攻)、北海道大学大学院工学研究科の稲葉陸太助手(環境資源工学)、酪農学園大学酪農学部酪農学科の干場信司教授の5人。各自がそれぞれLCAの歴史的経緯や概念、現在の国内政策や課題、全国での導入状況と有機物資源リサイクルに対する応用、道内の有機廃棄物の現状と、LCAを利用した道内有機物リサイクルの原状を報告し、道立畜産試験場の前田善夫副場長を座長に総合討議を行った。
 道内の産業廃棄物で最大のシェアを占めるのは牛などが出す家畜ふん尿で、全体の60~70%、約2000万tに及ぶ。リサイクルには現在、発電や堆肥化などが主流だが、プラント建設費用と環境負荷との対比がいまひとつ明らかになっていないという課題があった。今回の議論が進めば、今年11月より罰則が適用される家畜排せつ物法に対応するため、各地で進められているリサイクルプラント導入議論や、リサイクル技術そのものの研究開発について、一定の方向性が見えてくるに違いない。
 干場氏は言う。
「LCAの評価は、事務機器や自動車といった工業製品が先行しており、地域にLCAを導入する試みは、まだほとんどなされていない。だが、環境問題を考える際に極めて有効なツールのひとつであることは間違いない。今後の普及に期待したい」
 7月16日10時からはバイオガスプラント見学会が行われる。
写真:総合討論の様子
拝 映輔
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