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Last UP Date:2014-06-29
佐藤水産文化ホール講演会・「食生活の変化」に警鐘・相馬暁氏/2004-08-09
 8月9日、拓殖大学北海道短期大学の相馬暁教授を講師に招き、第3回佐藤水産文化ホール講演会が行われた。
 テーマを「スローフードと現代の食が抱える問題点 これで良いのか、あなたの食卓~食の安全性を考える」と題して行われた講演は、まず飢餓と飽食が同居する世界の現状を説明、年間約1800万人が餓死している一方で、日本では1人あたり約800kcalの食糧が、主にコンビニエンスストアから破棄されていることが語られた。また、バランス豊かな日本食の様式が崩壊し、結果として現在長寿を保っている日本の平均寿命が今後短くなる可能性を指摘、弧食(孤独な食事)・個食(各人バラバラの食事スタイル)・小食(個別の食事スタイルに合わせて容量が小型化)・戸食(手作りの食事から外食など既成品化)・五食(間食機会が増し、主食との区別がつきにくくなっている状態)という、5つの問題点が提示された。
 さらに、1979年がアレルギー元年とされていることと合わせて1959年にインスタントラーメンが発売されていることを指摘、合成食品添加物の多用から体内異物が急速に蓄積され、その影響が子供の世代に顕在化していると予測した。
 清涼飲料の大量飲用によってインスリンとアドレナリンが交互に大量分泌され、脳に器質的変異をもたらすというペットボトル症候群も紹介され、現代の「大量生産・大量消費」型の食生活に潜む歪みにも言及し、自らの「クリーン農業」の実体験から、多くの合成添加物を含む現代の食品を、単純に堆肥としてリサイクルすることに疑問を投げかけた。
 食生活は胎内、あるいは幼少期から連綿と続いており、自分たちだけの力でコントロールできるものではない。しかし、個人が認識し、改めるよう努力しなければ変わらない。その食生活に“不穏な”変化があるとしたらどうか。相馬氏の講演は、その可能性に目を向ける可能性を与え、考えを深める重要な示唆に富んでいたように思う。
 相馬氏の講演は今後、8月23日(食の安全性を脅かすものは何か~現代食生活に仕掛けられた罠)、8月30日(食べ物が日本の食卓から消える日は近い~食糧生産は本当に大丈夫か)、9月6日(環境と調和のとれた進化型クリーン農業~スローフードの原点)の3回にわたってシリーズ開催される。
 日本の食糧基地といわれる北海道で、本当の食生活の意味を考える機会となるのは間違いない。
●佐藤水産文化ホール
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写真:相馬暁氏
拝 映輔
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