8/12~16・旭山動物園で「夜の動物園」・21時まで夜間営業/2004-08-12 |
旭山動物園(旭川市)では、8月12日~16日の間、開園時間を21時まで(入園は20時まで)延長する夜間営業「夜の動物園」を開催する。昼間だけではなく、夜の動物たちの様子が観察できる機会として1987年より開始され、今年もヘイケボタル約600匹を放す「ほたるのこみち」などが行われる。 旭山動物園は1967年の開園。1983年に59万人の入園者を迎え、1度目のピークを迎えたが、その後人気は低迷し、1996年には入園者数26万人の過去最低を記録している。 「当時は“夢の60万人”といわれており、動物園としても毎年50万人来てくれれば安泰とされていました」 と、旭山動物園の山崎哲夫氏が語る。 現在はどうかというと、2003年の入園者数が82万7000人。今年は前年同日比21万人のプラスで推移しており、最終的には100万人を突破するかもしれないという勢いだ。 人気回復の秘密は、飼育員たちが描いた14枚のスケッチから始まった“理想の動物園”計画が始まりというのは、すでに有名な話かも知れない。 「普通の動物園であれば、飼育舎に入っている動物を見るというのが一般的な姿です。しかし、どれもが平面的であり、その動物が本来どんな姿で生活しているかとは無関係でした。飼育員の人たちは、そこに疑問を持ったんです」(山崎氏) 1997年から旭山動物園は、数度にわたって改装を行っている。最初に猛獣館を改装し、次にオランウータン館、2000年にペンギン館、2002年にホッキョクグマ館と続き、今年6月にはアザラシ館をオープンさせた。 猛獣館では、頭上にヒョウが見られるようになっている。オランウータン館では、高いポールを2本建て、ロープを渡してある。ペンギン館には“水中トンネル”があり、水面下を泳ぐペンギンの姿が観察できる。ホッキョクグマ館には地面に観察窓をつけ、給餌も水上、水中から見ることができる。アザラシ館にはプールにトンネルを設け、その中をアザラシが自由に泳げるようにした。どれもが、動物たちが生きていた環境を考え、その動物がより自然な姿で行動し、観察できるようにとの工夫、つまり“行動展示”というわけだ。 「ほかにも例えば、キリンのエサ箱はキリンの首よりちょっと高い場所に置いてあるんです。キリンはエサをとるために舌を伸ばしますが、キリンの舌はとても長いんです。キツネのトンネルやタヌキのねぐらもあります。タヌキのねぐらは、丸太に覗き窓をつけただけの工夫ですが、実際にタヌキがどうくらしているかが観察できるんです」(山崎氏) こういった工夫が、大小を問わず随所に凝らされている。案内表示を手書きの紙製にしたのも、情報をタイムリーに更新し、大人の知的要求に応えようとしてのこと。 ペンギン館オープン後、口コミによって評判が伝わり、札幌圏や道外からも入園者が集まるようになった。いまでは札幌からのバスツアーもあり、1回100人単位で入園者を運ぶ。 「お客様が増えて大変喜ばしいのですが、今度は混みすぎて、皆さんが十分に動物たちを観察できているかどうかが心配です。これからも“来れば必ず新しい発見がある動物園”であり続けたいと思います」(山崎氏) 旭山動物園を挙げた知恵と工夫の挑戦は、まだ続く。 ●旭川市旭山動物園 旭川市東旭川町倉沼 Tel.0166-36-1104 Fax.0166-34-1406 http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/asahiyamazoo/index.html
写真:6月にオープンしたアザラシ館の「水のトンネル」 拝 映輔
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