道内コミューター航空「エアァ・シェンペクス」経営陣交代・新社名「エアトランセ」へ/2004-08-13 |
8月12日、函館―帯広の定期便就航を目指していた道内のコミューター航空、エアァ・シェンペクス(株)(SHX、札幌市中央区本社、横山充洋代表取締役社長、資本金5億2000万円)は、函館空港内で記者会見を行い、横山充洋氏が社長を退任して江村林香新社長が事業を継承し、合わせて社名を(株)エアトランセに変更すると発表した。資本金は4億2000万円減資された後、江村社長ら数名によって5億円増資し、当面6億2000万円とする見込みだ。 使用機材は、エアァ社が調達に向けて動いていたビーチ1900Dエアライナーを、リース方式に切り替えて使用、当面1機体制での運行を目指す。また、2機体制を1機体制に計画変更することで、社員も60人から25人前後まで削減する。同社は当面、片道約2万円で函館―帯広間を結ぶ計画で、2005年3月の就航を目指す。 エアァ・シェンペクス社は、全道を走り回った横山氏の経験に基づいて1997年に設立された。地方空港同士を結ぶ純民間のコミューター航空として就航を目指し、今年1月には函館―帯広線の事業免許も取得していた。しかし、当初は2002年4月を予定していた就航が、使用する機材の変更や免許申請の遅れなどが影響し、たびたび延期されていた。 横山充洋社長は、 「就航延期がたび重なり、金融機関からも、本業と全く違う新規事業への融資には限界があると言われた。7月なかばに、ある経営勉強会の席で江村氏と知りあい、お願いした」 江村林香新社長は、 「航空事業に夢があったわけではなく、事業として興味があり、成功しそうだから引き受けただけです」 とそれぞれ語り、江村氏はあくまで事業性をポイントに判断したことを強調した。 江村氏は1968年、埼玉県生まれ。88年に東洋短大観光学部を卒業後、タクシー・ハイヤー旅行業のキャブステーションに入社。その後タクシー・ハイヤーのインターネット予約システム運営ベンチャー、ヒューマンビークルや、音楽家庭教師をベビーシッターとして派遣するベンチャー、エルパなど5社を創業。ニッチ市場を開拓してきたベンチャー経営者だ。 地方空港同士を結ぶという、大手航空の路線のすき間を、ベンチャー経営者の視点で見たとき、ひとまず“開拓の余地がある”という結果が出たことになる。ただし、航空業界は「安全性確保はもちろんだが、エンジン一つ維持するだけでも巨額の出費を要する特殊な世界」(航空関係者)でもある。 安全面では慎重に、かつ営業面では大胆な“需要開拓”を期待したい。 ●(株)エアトランセ 東京都港区虎ノ門2-20-1 新日鉱ビル東棟16F Tel.03-5575-5608 エアァ・シェンペクス(株) http://www.air-shenpix.co.jp/
写真:記者会見の席上、横山充洋氏(左)と江村林香氏(右) 拝 映輔
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