札幌市立大学・初代学長予定者川崎和男氏、学長就任を辞退/2004-08-20 |
8月19日、市政記者クラブにおいて記者会見が行われ、札幌市立大学の初代学長に予定されていた川崎和男氏が学長就任を辞退、札幌市側も就任要請を断念すると発表した。 川崎氏は1949年福井県生まれ。金沢美術工芸大を卒業し、東芝に務めた後、工業デザイナーとして独立。川崎和男デザイン室を設立してからは国内外で活躍し、数多くの受賞歴がある。現在は名古屋市立大学院教授。今年6月末に学長就任の記者会見を行ってから、わずか2ヶ月弱である。 上田文雄札幌市長の話によれば、辞退の理由は、「人事面など新大学の構想に食い違いが出てきたため」とのこと。 学長就任辞退について、札幌市の企画調整局企画部大学設置準備室では、こう語る。 「突然のことなので、こちらでは全くわかりません。上田文雄市長からは、7月31日に私信のeメールで就任辞退の申し出を受けたと聞いています。その後局長や副市長、市長が出向いて遺留したのですが、意思が固く遺留は無理であったと聞いています」 続けて言う。 「札幌市立大学は、市民参加型の大学として市民の意見を聞き、合議制でこれまで計画づくりを行ってきました。川崎先生にも大学設置準備委員会の特別委員として参加して頂き、その内容はご理解頂いていたとばかり思っていました」 札幌市側では合議制を重んじ、手続きを重視しながら大学設立に向けて準備してきたが、川崎氏の新大学への思いをそこに汲みきれなかったのではないか、としている。 しかし、新大学の設置準備も、いわば“デザイン”の一種。川崎氏のデザイン能力に対して札幌市側が追従しきれなくなったということも考えられる。いずれにせよ、札幌市にとっては大魚を逸する結果となり、勿体ない限りだ。 札幌市立大学の開学予定(2006年4月)など、その他の基本計画については変更しないと札幌市では言う。 大学設置許可申請を文部省に提出する2005年春まで、準備室は大急ぎで新たな学長候補を探さなければならない。 (2004-08-22追記) その後、一般各紙報道によって、川崎氏から辞意を表明したものではない旨が明らかになった。旧高専関係者に対する優遇措置に不満があったとも、会議中に川崎氏が激昂した場面があったとも、同時に伝えられた。 果たして札幌市が重視したのは「市民参加」であったのか、それとも「組織維持」であったのか。
写真:札幌市立大学学長就任を辞退した川崎和男氏 拝 映輔
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